第162話 猫被りの少女
学校から徒歩5分程度のところで彼女と出会った。
その彼女はミニサイズで。
ピョンピョンっと跳ねていた。
「何してるの?」
「え?目隠ししてだ~れ~だ?ってやりたかったのです!」
「あっ………そ………」
「でもやっぱり140センチ台にはキツイです。」
「あっそ………」
香織と彗が言ってた時は150センチって……まぁ細かいことはいいか………そんなことより……
「どうしたの?雫ちゃん。」
「まぁまぁここは細かいことは無視で歩きましょ?GPS、1ヵ所で止まってたら不自然でしょ?だから歩きながらコンビニでも目指しましょう!」
小さい体が前をリードする。その姿にとりあえず理解することを捨てた晃太は歩き出す。
「………え、まずさ、つけてきたの?」
「つけてきたって言い方悪いですよぉ?晃太さんから2人が消える瞬間を見定めて飛び出してきたんですよ?」
「飛び出してって……ポケモ……」
「あっ、そうだ。晃太さん。敬語止めてもいいですか?」
「ハンドルきるのいきなり過ぎない?いいけど……香織とかの前で……」
「香織さんたちの前では猫被りますから。にゃ~ん。」
手を頬にあて猫の招くポーズをする雫ちゃん。悔しいけどミニサイズの体から見てマスコットみたいで可愛いと思ってしまった。
「あ、あと呼び方も変えたいですね。香織さんがこうたん、彗さんが愛人様。う~んなら私は~」
「非公式だぞ?愛人様は。」
「こーくんで。」
「へ?」
「2人きりの時はこーくんで。よろしくです!」
「いやいや………」
「あ、こーくんも言い方変える?しーちゃんとかにする?」
「いや、雫ちゃんでいいから。で。絶対にそれ俺以外の前では言わないでね?」
「ウフ。わかってるよぉ~。心配性だなぁ~、こーくんは。」
「…………」
多重人格かと思うほどの雫ちゃんの裏と表。
こりゃまた厄介なモノを引き寄せたわ………
「こーくんは小さい体でも大丈夫?」
「どういう意味かな?」
「だってこーくんの周りデカイ人ばかりじゃん。おっぱいとかおっぱいとかおっぱいとか!」
「そんな連打しなくてもいいから………」
「私だってないわけじゃないよ?Eくらいはあるんだから。」
「聞いてないから。マジで聞いてないから。」
おっぱいのサイズも見当違いじゃねーかよ。あの2人。
「意外とあるって覚えといて?」
「覚えなくていいわ。別に。」
ニコニコ笑う彼女は楽しそうに………
「おい。なんで手を繋いでんだ?」
「ノリ。」
「やめろよ。見られたら。」
「興奮する?」
「違うわ!」
「まぁまぁ、コンビニ行くまでだから少しだからね?」
ぎゅっと固く結んだ恋人繋ぎは取れそうにもないので…………
「あっそ。」
諦めて従うことにした。この頃諦めが酷くなってきてないか?オレ。
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