第158話 ピュアピュア

とりあえず走り始める晃太。

とりあえず場所はあそこだ。

ダッダッダッダッダッダッダッダッ。

ガラガラガラガラ……。


「あの………すいません……ここ、1年1組っすよね?」


「あ、は、はい………そうですけど……」


地味目なメガネ女子がそうオドオドと話す。


「なら幸山 雫さんもいますか?」


「雫ちゃん?うん、あ、はい。居ますけど……あの……あそこの椅子に座ってる…って」


その言葉を聞いた晃太はすぐさま躊躇なくその椅子の場所に……つまり幸山 雫ちゃんの椅子の場所に行き

ガシッ。


「え?え、え?社さん?」


「とりあえず行こ。」


手を掴みいや腕を掴み……


「いや、何処に……」


「あ、そうだ。俺の携帯GPSついてるんだった。置いとこ。」


「GPS?置いとく?何の話をしてるんですか?何で引っ張るんですか?」


「理由は後で。じゃないと雫ちゃん殺されるから。」


「え、何故私に死の危険が迫ってるんですか?」


「2人のいや、二匹の猛獣 怪獣がもうすぐ来るから!急いで!」


「い、意味が分からないです!何の話……」


「あ~もう!これの話!」


「あ、あ、あ、あ、あ……そ、それは……」


手に出したのは手紙いや雫ちゃんからのらぶれ……


「分かりました!分かりました!分かりました!分かりました!出ます!出ますから!一旦閉まってください!」


とりあえず連れ出しには成功した晃太。彼女の手を引き一目散に走り出す。


「ん?で何処に?」


「とりあえず遠くに。誰もいないような遠くに。外出たら外にも迷惑かかるから学校内でやることやって解決しないと!とりあえず身を隠す場所を探そう!」


「え、あ、は、は、はい……ていうか……手が……」


「今はゴメン。耐えて。嫌だろうけど。」


「嫌な訳ないです………ダイスキデスカラ」


小さな声で言う雫。

今の言葉でレターが何レターか分かってしまった。やはり逃げてよかった。隠れようとして正解だった………




「ここ何処ですか?」


「知らない。」


「知らない?」


「知らないけど知らないってことはいい場所だってことだよ。よし。この階段の裏に隠れよう。」


「あ、は、はい。」


階段の下に腰掛けた2人はとりあえずの休憩をとると、もういきなり本題へ。


「あのさ、手紙読んでもいい?」


「うへぇ?」


「めちゃくちゃアクションするじゃん。」


「そ、そ、そりゃあしますよ!アクションしますよ!え、まだまず読んでなかったんですか?」


「う~ん。極端に言えば読ませてもらえなかった、が正しいかな?」


「へ?」


「ま、うんなことは置いといて、読んでもいい?」


「いや………あの……………読むのは構わないですけど……………わ、私の前で読むんですか?」


「後ろ向くよ。」


「そういう問題じゃなくて…………一緒の空間で読むんですか?」


「読む、ね。」


「…………………耳ふさいでるので大丈夫です。」


「黙読するよ?」


「……………………」


あ、耳ふさいでる。

なら読むか。読ませてもらおうか。


ペラっ。


「社 晃太さんへ

放送室で逃げ遅れた私を助けてくれてありがとうございます。私はへっぴり腰で逃げ足遅くてどんくさいから人質になったりして迷惑をかけました。けど………けど社さんはそんなことは関係なく私も綾崎さん?も助けようとしていてとても、とても……カッコ良かったです…………彼女持ちの方にこんなこと言ったらダメなのは理解してます。けど止められないから文字で綴ります。

社 晃太さん……好きになりました。私の王子さまになってください。

これ ライムと電話番号です。

幸山 雫より」



ふぅ~…………

とりあえず一回読んで理解したこと。

アイツらが先に読んでたら発狂してたし雫ちゃん死んでただろ~うな~。





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