第157話 古なるラブレター

「幸山 雫 15歳。1年1組の女子。小柄で身長は大体150センチくらい………胸は……まぁCくらいかな?」


「あの目安で言ってあげるの止めません?」


「こうたんは一旦黙ろうか?」

「愛人様。一旦……」


何で俺のことなのに俺の発言権がない訳?

で2人が見つめる先にはクッキーが………。


「食べなよ。こうたん。」


「え?」


「食べてください。愛人様。」


「え、いや…お前らそれ捨てる気でとったんじゃ?」


「まさか………そこまで鬼畜じゃないよー」


「鬼畜だからお前らは。」


「とりあえず食べてあげてください。」


「う、うん………まぁ食うよ………」


袋を開けクッキーを一つ取り出す。

じーっと見つめる2人。見つめているポイントから火が出そうね。


とりあえず無視できないけど無視してクッキーを口に含む。


「あ、ウマッ。」


ギロッとした目が4つ向く。


「あ、いや普通にウマッ。って……旨かったから………」


「こうたん。1個でいいのに2つ目いこうとしてない?」


「あ、いや…。」


「どうぞ。どうぞ。食べてください。食べてください。ゆっくり味わって食べてください。ね?綾崎さん?」


「そうだね?クッキー好きなんだったら私たちも死ぬほどクッキーつくろうかな?なんてね。ハハハ。」


目が笑ってない。目が笑ってない。

怖い怖い。けどクッキーはその恐怖に勝る旨さで…。

サクサクサクサク…。


「全部食べたね。」


「食べましたね……」


「美味しかったですか?」


「ま、まぁ………」


「「ふ~ん」」


怖いってマジで。


「とりあえず食べたね。ということはこれ。問題のこれ、開封といきますか……」


ぶらぶらと手から紙を揺らす香織。

それは雫ちゃんが渡してくれた手紙。こんな手紙貰うのは初めて………うん?ちょっと待て。


「ちょっと待って。」


「何?こうたん?」

「何?愛人様?」


2人はこちらを死んだような目で見つめる。


「それ手紙だろ?俺が見ないと意味ないじゃん?手紙だし俺が見たいじゃん?だから…」


「だから?」

「だから?」


「貸して?」


「「何故?」」


「何故って………」


雫ちゃんのあの様子から見ても分かるあれは

古のラブレターなるモノに近しい。

だから見られたら雫ちゃんが死ぬ可能性がある。アイツらはそれくらいする子たちだ。だから見られたら終わる。メデューサがこっち見たら石になるみたいに見られたら全て終わる。少なくとも俺にもダメージはくるし雫ちゃんもダメージだらけになる。

だから…………だから…………だから……


「あ、あんなところに俺が昔書いた香織へのラブレターが!」

「え!何処!」


「あ、あんなところに俺と彗が写ってる写真が綺麗なまま置いてある!」

「嘘!そんなレア物!」


スッ…………ダッシュ!


「あれ?何処にもないよ?」

「写真なんて何処に?」

「「あれ?こうたん、晃太くんは?」」


「あの…………」


ずっと日陰だった進藤が発言する。


「香織ちゃんが持ってたラブレター持って逃げていったよ?って痛い!痛い!」


「逃げていったよ?じゃねーよ!何逃がしてんだよ!」


「お前見てたなら止めろや!」


足蹴りを受ける不運な進藤。


「探すぞ……」

「探してお仕置きだ……」


「俺は別に……」


「「お前も働け!クソムシ!」」


何で俺はこんなポジションになったんだよ。







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