第149話 綾崎 彗の暴走
放送室前では人だかりがある……かと思ったが人はまばらだった。自分は巻き込まれたくないと思う人が多数で少数の野次馬がいたのだろう。それより驚いたのは教師が来ていないこと。灰カスは仕方ないというか期待してないが教頭が今一番上なのだから来ているかと思ったが………来ていない。てか教頭ってどんな人だっけ。まぁ今はそんな場合じゃないが。
「綾崎!」
閉めきられた放送室に声を投げかける。
「あ、晃太くん!え~と4分37秒だからセーフだね。えへへ。」
中にいる彼女はそう言って笑う。悪びれる様子もないようだ。
「俺が来たんだ。中にいる人たちは解放してやってくれ。」
「え?でもさー私呼んだのは晃太くんだけだよ?なのに何でそんな大所帯?意味わからない。解放できないよ。」
「俺の周りにいるのは生徒会長のアリスさん 副生徒会長の忍さん。そして香織だ。」
「余計なモノが多いね?私が求めるのは晃太くん一人だよ?」
その声は笑いながらも闇を感じていた。
「解放はするよ?ただ中には晃太くんだけ入ってくれたらいいよ?」
「ダメ!こうたん!綾崎のペースになるよ?乗ったら……」
「あ、いいの?じゃあ一人一人秘密暴露していくけど大丈夫?」
「くっ………」
「香織……」
「へ?」
「あと先輩方他の方々の看護よろしくお願いします。」
「晃太くん?」
「どうする気だ?」
「こうたん!」
そう後ろで話す彼女らを前に深いため息をつき、
「綾崎!開けろ!俺だけ入る。」
「ホントにぃ?」
「ホントだ。」
数秒の間があって鍵が開き中から放送部員が出てきた、その代わり………
ガシャ。
「やぁ。晃太くん。綾崎だよ?久々だね!」
怖いくらい笑みの綾崎がいた。
「お前………全員解放するって言ったよな?」
綾崎の横には小さく座る女子生徒が一人。
「逃げ遅れたんだよ。」
「じゃあ今逃がしてやってくれ。」
「う~ん………ダメ!」
「は?」
「何か使えそうだから置いとく。別にいいよね?」
「あ、あ、は、は、は、は、はぁ………」
怖さで返事も出来ない少女。ヤバい早く助けないと。
「じゃあ、早く本題に入る。
お前の望みはなんだ?」
「晃太くんと結ばれること!」
目がバキバキでそう話す。
「断ったはずだが。」
「晃太くんは洗脳されてるんだよ?あんなヤツより私の方がいいに決まってる。」
「確かに香織はぶっ飛んでるけど選んだ女に筋合いつけられたくないな。」
「私の方が綺麗!私の方が頭がいい!私といればいくらでも奢ってあげる!」
「そんなモノはいらない。」
「だから私のモノになって?」
「無理だと言ったはずだ。あのホテルでも。」
「言って」
「言えない」
「言って」
「言えない」
「言って」
「言えない」
「言って」
「言えない」
「言って」
「言えない」
「言って」
「言えないって……」
「言ってって言ってるでしょお!!?」
彼女が懐から出したのは………
カッターナイフだった……
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