第141話 鳥籠

「お前さぁ…」


ただ無言で土下座をする彗。


「帰るからな…って」


土下座をしながらズボンの端を持つ、力強く持つ彗。結構な力で動けば破れそうだ。


「離せ。」

「てか話せ。離して話せ。無言はやめろ。」

「おい。彗。」

「いい加減に………」


でそこで、というか今更気づいた。コイツ、彗の作戦、姑息な作戦に。


いくら平日と言っても人通りはそこそこある。


「え、何あれ……」

「え、土下座?」

「させてるの?女の子に?」

「え、このコンクリートに頭を擦りつけて?」


ヤバいヤバい………人の目に晒されてる。

下手したら警察来る。イヤ、警察来てもいいんだけど。俺が誘拐されてんだけど……

だけど。女子の方が弱者という考えが日本ではある、だからこの状況で一番ダメージ食らうのは……晃太なのだ。


「おい。土下座やめろ。人集まってるから」

「ワタクシロボットホテルハイルマデスル」

「ふざけんな。」

「ナラモットフカク………」

「あ~、もう。入るだけな?クソが!」


諦めた晃太の様子を見てそして周りが徐々に不思議な状態に目を合わせなくなるようになるとスッと立ち上がりラブホテルのフロントに行き803号室とフリータイムでって……ってフリータイムじゃねーよ!普通に一時間にしろや!




「急に選んだホテルだけど綺麗なところだね!」


「別に選ぶ気もないし来る気もなかったが?」


「何言ってるの?入ってるのにそれは通じないよ!」


「土下座で脅迫してきたヤツが何を言ってんだ?」


「さぁさぁ………」


そういいながら鞄をガサゴソする彗。


「晃太くんとはしっかりと昔のこともそうだし色々話したいな!って思ってたんだ!」


「あっそ。」


「だから………」


鞄の中から果物ナイフを出し……


「椅子に座って後ろに手を組んで?」


「あのさ。意味がわからんわ。」


「何が?」


「全ての行動が。やめろ。果物ナイフを近付けんな。」


近付けんな。恐怖より何故?が勝つから。


「私一度晃太くんとしっかりとした会話をしたかったんだよ!だから。」


「だから手を後ろにまわしてぐるぐる巻きにして拘束した状態で話せと?」


「あ、危ない。」


そう言うとベッドに座っていた晃太の横数ミリの場所をナイフで刺す。


「あ、ごめんごめん。体勢が悪くてね。」


「……………」


「とにかく椅子に座って後ろに手を回してくれるかな?晃太くん?」


「……………」


昔話するなら別に拘束する必要ねぇよな。

なのに何で…………


考えても無駄だった。もういいや。とりあえず従おう。


何で俺の周りに集まる女子は全部病んでるかぶっ飛んでるんだ?特殊能力?

ならいらないから、誰かにあげるから。助けてくれ。


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