第140話 最後に勝つのは強行策

出てくる写真、いやプリクラ、6枚の、6ポーズのプリクラ。

様々なポーズで撮る中一枚だけおかしなポーズ、いや体勢のプリクラが。


「プリクラ出てきたね。」


「出てきたとかじゃないけど」


「え?何が?」


「何が?じゃないよな。わかるよな?6枚目の写真について言ってんだよ。」


「6枚目?あ~!この キスプリのこと?」


「そのことだよ。でキスプリじゃねーよ。キスはしてねーよ。」


そう。唇と唇が近づいたその時、とっさにガシッ、っと頬を挟み唇と唇の接触は無くなった。そうキスはしてないのだ。ギリギリだが。


「キスくらいいいじゃん?」


「キスはくらいで済むモノじゃねーだろ。」


「けちんぼ。」


「ケチでいいわ。」


「でもこの写真ならキスしてるみたいに見えるし大丈夫!これを私のケータイに貼るね?」


「やめろ、って言ってもやるんだろ?」


「やるね!」


「ならいいわ。ダルい。」


「よしっ。香織に勝ったね!」


「勝ちになるのか?それ。」


「とりあえず私のやりたいこと一つは達成した!」


「一つ?」


まだあんのかよ。


「あと一つはゲーセン出てきから歩きながら……ね?」


「ね?じゃねーよ。誘拐犯。」


解放させろ。で帰り賃もくれ。

未だにここが何処か知らねーんだよ。




「天気も快晴でいい空気だね!」


「うんなことはいいからさっさと目的の場所に行けよ。」


「そんな急かさなくてももうつくから。準備とか大丈夫?」


「なんなん?準備が必要な場所なのか?」


「服は………大丈夫かな?あ、学生に見られないようにしてね?」


「学生服着てるから無理では?」


「ポロシャツになれば大丈夫かな?」


「なんなん?ドレスコードあるのか?」


何処にいくつもりだよ?っと思った数分後にはすぐに気づくことになる、何故逆に気づかなかったのだろうと。


「はい。ここ!」


「………」


「はい!ここ!」


「知ってるから。」


「じゃあ入ろ。」


「あのさ。」


「うん。」


「一応聞くけどさ。」


「うん。」


「ここは何?」


「え?ここは


ラブホテル!」


「帰る。」


「ちょいちょい。」


「ちょいちょいで首を引っ張るな。」


「首じゃないよ!襟だよ!」


「同じだから。帰る。」


「何処に?」


「とりあえずケータイ返せ。そしたら帰れるから。」


「返す訳ないじゃん?」


「わかった。じゃあタクる。」


「1万かかるよ?」


「近くの電車まで。つまり駅までって言うからそんなかからん。」


「う~ん。頭が柔らかい……」


「どうせ後々返すことになるんだよ。ケータイは。学校行ったら香織が取り返すから」


「むぅ。香織にめちゃ信頼もってるじゃん?」


むぅ、っと唇をつき出す彗。


「信頼よりアイツならまず俺のことするだろって思ってるから。」


「………そんなに香織、香織言われたら気分悪くなった。」


「はぁ?」


「もう知らないからね。」


そういった彼女は地面、コンクリートの地面に頭をつけて………

ザ、ジャパニーズ 土下座。





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