第128話 ライバルの宣言でこんな汚いことある?

綾崎 翠の霊圧が消えた。

というか晃太と香織に対して喋りかけることが無くなった。

踊り場での一件以来晃太達に喋りかけなくなった。

香織曰く


「もう私たちの愛に負けたんだよ!」


と。

だが晃太にとっては嫌な気しかしなかった。

まぁ、もう考えることがめんどくさいので時間が過ぎることを祈った。


で時間は過ぎ‥‥‥放課後に。

確かに翠は何もしなかった。

もう諦めたのか。なら楽だしいいけど。


「こーうたーん!」


「痛っ!」


後ろからバックハグという名の首絞めをする香織。


「お前さ‥‥‥人殺す気か?」


「愛で死ねるなら嬉しいでしょ?」


「そう思ってるのはテメェだけだよ。」


「まぁまぁ落ち着いて!」


「落ち着いてるからクソが。」


「口が悪いよ?どうどう。」


「馬じゃねーよ。」


「馬では犬のつもりだったんだけど?」


「正直どうでもいい。」


「まぁ。そんなことより!」


パンと手を叩くと。


「パンっじゃねーよ、うっせぇ‥‥‥」


「とりあえず!あんにんにんどうふ買いに行くよ!」


「そう言えばそんなこと言ってたな。」


「言ってたのはこうたんだよ?」


「まぁともかく行くか。無くなる前に。」


「よっしゃ!買い占めに行くよ!」



「ちょっと待ちなさい!」

「ちょっと待ってくれ!」


足を帰り道に向けようとすると声が聞こえた。それは男女の声で、しかも聞き馴染みのある声で。


「何なんですか?翠、そして進藤‥‥‥」


その2人の声だった。


「何よアンタ。先に私が言ったんだから。退きなさいよ。」


「転校生!今お前のことはどうでもいいんだよ!頼むから!」


「お前らどっちも聞く気はねーぞ?帰るぞ。」


無視して帰ろうとすると‥‥‥



「香織!いじめてゴメン!」


「は?」


クラスメイトに聞こえるくらいの声で翠はそう言った。

クラスメイトもえ?という顔でこちらを見てくる。


「何?綾崎。」


「いじめてゴメンって言ってるの。」


「だから何で急に言うの?」


「全てを平らにしたいから。」


「平らに?」


翠の目が晃太に向けられる。


「もう気づいてると思うけど私はアンタ、晃太くんのことが好きなの。昔からずっと。」


おい、クラスメイト。キャーじゃねーから。


「いじめてた過去は消えないのは分かってる。けど好きって気持ちは消えない。だからこうやって謝ってるの。」


「綾崎。謝っても消えないものは消えな」


「分かってる。けど‥‥‥一緒の立場にいたいの。だから。謝ってるの。」


翠の目は本気だった。


「でも綾崎?私とこうたんはセックスを中だしで」


「お前はそれしか言えないのか?」


そのカードが強いのは知ってるけどさ‥‥‥


「それも解決策を考えたの。」


「は?」

「え?」


解決策?嫌な予感が‥‥‥


すぅーっと息を吸った翠は大声で宣言する。



「私も晃太くんと中だしセックスをゴムをつけずにすればいいんだよ!」


‥‥‥‥‥あ~あ。やらかしてるよ。やらかしてるよ。


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