第119話 殺しが許される時代なんてくるわけないから。

進藤の家は学校から徒歩で通える距離。

約10分歩けばつく場所にある。


「優くんの家学校から近いんだね!これはいいね!2人で住むようになった時もバッチリじゃん!」


「‥‥‥‥‥」


「あの百舌鳥さん‥‥‥‥頼むんで進藤はそっとしてやってください。」


茫然自失としながらゆっくりと前に足を進める彼を見ると心が痛い‥‥‥‥


そんな話をしているうちについてしまった。進藤の家。


「はぁ‥‥‥‥」


「どしたの?こうたん?」


「お前は黙れ。」


当事者ではない晃太がこんなに気が重いのだ。進藤の心は石、いや鉛かもしれない。いやもっと重いかもしれない‥‥‥‥

とにかく‥‥‥

ピンポン押すのが怖


ピンポン~!


怖いとか思って躊躇ってるうちにまるで軽い業務の如くピンポンを鳴らす百舌鳥さん。

いや‥‥‥もう‥‥‥いや‥‥‥もういいや。

言うのもダルく感じたわ。


「はーい!あら、優おかえり‥‥‥って何か大所帯ね?」


ガチャっとドアを開けて出てきたのは進藤のお母さん。名前は‥‥‥‥


「お母様!」


「さ、様?」


「素敵な顔に素敵な服、素敵な髪です。流石は優くんのお母様。」


「あ、ありがと‥‥‥‥って貴方は一体‥‥」


「お母様、お名前は?」


「え?」


「お名前は?」


「え、え?君菓(きみか)だけど‥‥‥‥」


「君菓お母様ですね。」


百舌鳥さんは片膝を地面につけながら‥‥‥


「君菓お母様。私、百舌鳥 愛梨と申します。数ヶ月、いや半年前から優くんの彼女をやらしていただいてます。」


「え?百舌鳥?って‥‥‥‥か、彼女?彼女、彼女‥‥‥彼女‥‥‥彼女ね‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥って!彼女?!彼女なの?優の彼女?!しかも半年前?」


「はい。」


「ちょ、ちょ、ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待って!今リビングとか片付けたり準備したりするから!ちょっと待ってて!多分10分くらいで終わるから!待ってて!」


勢いよくドアを、扉を閉める進藤のお母さん。


「どうだった?香織ちゃん?いけてた?」


「いけまくりだよ!イケメン!いや、イヤマンだね!あ、あと遅いけど愛梨って呼んでもいい?」


「良いに決まってるじゃん!私も香織ちゃんじゃなくて香織でいくよ!」


「オッケー!愛梨!」


「オッケー!香織!」


バカ女子2人が盛り上がる中、男子は言うと‥‥


「お前さ‥‥‥彼女出来たこと親にも言ってないの?」


「お前に言ってないんだ、親に言うわけないだろ‥‥‥」


「俺の格がどうなってんのかはよくわからんけど‥‥‥‥おばさんめちゃめちゃ急いでたぞ?あれは色んな気持ちが入り交じった気持ち‥‥‥」


「なぁ、晃太。」


「あ?」


「いや、社 晃太。」


「あ?なんだよ。気持ち悪い‥‥‥」


「今日本の法律が失くなりました。」


「は?」


「今はボーナスタイムです。だから」


「だから?」


「俺を殺してくれ。」


「親友に何頼んでんだ?」


「親友だから殺ってくれ。犯罪者にはしないから。だって日本の法律が失くなりました。今は。」


「落ち着け。日本の法律が失くなることはないしまず殺しが許される時代はこない。」


「だったらこの状況を打破する方法を教えてくれ。」


「教えれたら俺はここにいないよ。」


男子チームと女子チームのムードは天国と地獄だった。

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