第114話 決着は押しきりで。結局孫は強し。
向かい合うように座る忍先輩、アリス先輩と服を慌てて着てきた校長。
真ん中には清美さんが座り‥‥‥
「あの‥‥‥これ‥‥‥俺たち入りますか?邪魔なら帰りますけど‥‥‥」
「なに言ってるの!こうたん!私たちが作り出した2人の関係性を最後まで見届けないで何が恋のキューピットだよ!」
「誰も恋のキューピット名乗ってないんだよ。俺はキューピットじゃない。」
「じゃあ、私がキューピット!」
「‥‥‥もうお前がそれでいいならそれでいいよ。だからっている必要は‥‥‥」
「晃太くん、香織ちゃん。少しまだ付き合ってね?まだ解決してないからね?」
「うん!分かってる!きよちゃん!私たちに出来ることがあれば何でも言ってね!」
「‥‥‥‥‥」
人の家庭事情にドップリ浸かるはめになったな‥‥‥マジで。
「清美さん!話し合いって何を?解決って何のこと?」
「決まってるでしょ?貴方が決めたアリちゃんの監獄みたいな学園生活と忍くんとのことについてだよ。」
「はぁ?その2つに議論の余地なんて‥‥‥」
「ある。死ぬほどある。」
「清美さん‥‥‥‥」
「貴方ね?アリちゃんのためにとか言ってクラスメイトとの交流も無しにしてたのね?」
「あ、いや‥‥‥‥」
「それに会長が出ないといけないところも全部忍くんに出てもらってたんだって?」
「いや‥‥‥‥」
「それに‥‥‥行事。体育祭や文化祭、修学旅行はまだだからいいけど。それも全て参加させてもらってないって聞いたけど?アリちゃんに。」
「あ、いや‥‥‥‥」
「最初の約束と違うよね?貴方。」
「最初の約束ってなーに?きよちゃん?」
「この人、隔離するのは授業だけで他は隔離しないって自分で言ってたのよ。それがこのざま‥‥‥‥」
「き、き、聞いてくれ!清美さん!わ、ワシは!」
「校長。」
「うるさい!黙っておけ!しの‥‥‥」
「黙るのはそっちだよ!おじぃちゃん!」
「へ?」
大きな声をあげたのは‥‥
「もううんざり!」
アリス先輩だった。
「アリスちゃん?どうしたの?そんな言葉使いして‥‥」
「うるさい!おじぃちゃん!もう喋らないで!」
「え‥‥‥‥」
その言葉はかなり心に刺さったようだ。校長の。
「私はうんざりしてるの!私が生まれたら私の名前の学校にするし、小学生の時はSPつけてたし、中学生になったらGPSつけられて高校生になったら今度は隔離?ふざけんな!私だって普通の高校生として生きたいんだよ!」
怒りと涙の狭間で大きく声を出すアリス先輩。
「もう私はおじぃちゃんとの縁を切る!」
「え?」
「もう耐えられない!」
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ!アリスちゃん!」
「離して!」
「話し合いをしよう!」
「どうせおじぃちゃんの都合のいいようにまとめるんでしょ?」
「う。」
「ビンゴじゃん。もういい。私は帰る。」
「帰るってどこに‥‥‥」
「お母さんたちのところに帰る。」
「あ、あ、アイツらは役に立たないぞ?す、すぐにおじぃちゃんのもとに帰りなさいって」
「もう縁切ったんだから関係ないでしょ?」
「うっ‥‥‥」
「それか忍。忍の家、独り暮らしだよね?一緒に棲んでもいい?」
「私は構いませんが。」
「ゆ、許さんぞ!し、忍の家に棲むなど言語道断!おじぃちゃんは許さな」
「だからおじぃちゃんじゃないからもう。縁切ったから」
あっさりと言い切るアリス先輩。
「おばぁちゃんは私たちのことは反対じゃないしあの変な学校の隔離は反対なんだよね?」
「そうね。忍くんはいい子だろうし‥‥‥」
「清美さん!そいつは昔鬼と呼ばれたヤンキーだっ」
「ヤンキーが何?そのヤンキーに銃を向けて殺そうとしてたのはどこの誰?」
「う、う、うっ‥‥‥」
「それにヤンキーだからってどうも思わない。今はこんなに立派になってアリちゃん守ってるんだから。関係ないよ。」
「う、う、うっ‥‥‥」
「じゃあそうゆうことで。おじぃちゃん。こう呼ぶのも最後になるか。今まで余計なことばかりしてホントにめんどくさかったです!さような」
「ちょっと待ってくれ~。考えなおす!考えなおす!考えなおすから~!縁は切らないでくれ~。」
敗者となった孫大好き校長は大粒の涙を流しアリス先輩の脚にしがみつきながらそう叫んだ。
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