第113話 妻は強し。意思は強し。風穴は開けられた。
「私は反対だったの。アリちゃんの学生生活を閉鎖的にするのは。」
「そうだったんですか?」
「当たり前よ。けどあの人‥‥‥校長って立場を思いっきり利用して最悪な劣悪な環境をつくりあげて‥‥‥」
清美さんの顔がどんどん曇っていく。
「けど。あの子。アリちゃんは何も文句も言わず、ただ毎日を過ごして‥‥‥顔からは楽しいって言っていても心から楽しいと思えるような顔ではなかったから‥‥‥それが私は辛くて‥‥‥」
「だけど少し前から顔が変わってきて‥‥それがホントに楽しそうにしている顔に変わって‥‥‥私はすぐに気づいたわ。この子は恋をしているんだって。」
「きよちゃんはアリちゃんの恋に気づいてたの?」
「気づいてたわよ?あのバカは気づいてないみたいだけどね。」
「あの‥‥‥清美さん。聞きづらいんですけど、アリス先輩のお母さんやお父さんは?」
「あ~、アリちゃんの母と父は一応いることはいるんだけど役に立たないのよ。」
「役に立たない?」
「一応いることにはいるんだけど‥‥‥どちらも気が弱くてね?あの人に何も歯向かうことなんて出来なくて‥‥‥だからアリちゃんも諦めてたんだと思ってたんだと思うわよ。」
それほどまでに校長、おじぃさんの壁は高かった訳か。
「でも良かったわ。人が死ぬ前に止めることが出来て。」
「きよちゃんはこの対決、決闘知らなかったの?」
「知らなかったわよ。家に帰ってきたらいきなりあのバカが銃を子供に向けていて‥‥‥とりあえず叫ぶしかなかったわよ。」
「博多弁だったよね?」
「一応生まれは博多だからね。」
一応話が終わったのかお茶を一口飲む。
「ともかく貴方たち2人には感謝しかないわ。ホントにありがとう。」
「いや、何度も頭を下げられても‥‥‥」
「君たちが空けてくれた風穴はこれからいい仕事をしてくれるわよ。」
「いい仕事?」
「おばぁちゃん?」
ドアを開けて少し不安そうな顔のアリス先輩と、
「あ、アリちゃん。あ、あと君は忍くんだっけ?」
「あ、あ、は、はい‥‥‥」
看病され体中に包帯や絆創膏を貼る忍先輩の姿が。
あれだけ殴られてもう立ってられるなんて流石元伝説のヤンキー。
ガチャ。
「清美さん‥‥‥もう無理‥‥‥だから‥‥‥」
もう一つの扉からは汗を滝のように出した校長の姿が‥‥‥。
「なにしよっと?まだやけん。」
「だ、だとしても‥‥‥あっ。忍‥‥‥お前‥‥まだ生きていた‥‥‥」
校長の言葉を言い切る前に思いっきり顔面にキックを放つ清美さん。
「生きていた?あんたのせいで死にかけた子に何いっとるん?‥‥‥ほら!気絶してんと、はよちゃんとした服着てきなさい。話し合いするよ。アリちゃんと忍くんはここに座って?あんたははよ服着てきなさい。じゃないともう一回蹴飛ばすよ?」
「わ、わ、わかりました!すぐに着てきます!」
校長‥‥‥尻にしかれてたのか?いや、けどアリス先輩の学園については実行したんだよな‥‥?どうゆうことだ?
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