第111話 男のプライドはダイヤモンド

「っは‥‥‥」


木刀に刺された忍先輩はふらつきながらリングに持たれかける。


「っは‥‥ゴホゴホ‥‥ゴホゴホ‥‥」


むせる忍先輩によっこいしょっと立ち上がる校長‥‥‥


「ウハハハハ!ウハハハハ!」


「おじぃちゃん!」


アリス先輩が悲痛に叫ぶ。


「真剣を折ったからもう敗け?うんな訳ないだろ?確かにワシの日々研いた真剣を折ったのは素晴らしい。よくやった。だが‥‥‥」


木刀を忍先輩に叩きつけながら校長は叫ぶ。


「真剣にやれ!真剣に殺し合いをしないからバカなんだよ!バカ野郎!」


殴りまくって殴りまくる校長。体も顔も殴りまくる。


「忍っ!」


「アリス‥‥‥‥私は大丈夫です‥‥‥‥私は決して‥‥‥」


「オラオラオラ!」


「‥‥‥貴方のおじいさんを傷つけま」


「オラオラオラオラオラオラ!オラオラオラ!オラ!」


殴りまくる校長の攻撃を‥‥‥全て受けきる忍先輩。

ふらつきながらも‥‥‥倒れはしない‥‥‥

だがその目つきはあの、アリス先輩を助けた時の鬼の目つきをしていた。


「何だ‥‥‥?その目つきは?どうした?殺したいか?殴りたいか?殴りたいか?どうだ?なんとかの鬼よ?」


「おじぃちゃん‥‥‥何で忍のそれを‥‥‥」


「ワシは校長だ。生徒の情報はしっかり頭に入ってある。この忍が昔どえらいヤンキーだったことも、筒抜けだ。」


「そんな‥‥‥」


「アリスちゃんがコイツを副会長にしたいって言った時、ワシは悩んだ。だが逆にコイツを使えるとも思った。だってコイツならどんな男でも殴り飛ばしてアリスちゃんを助けてくれると思ったからな?だが‥‥‥」


また力強く木刀を顔面に振りかざす。


「まさかその男、邪魔な男にお前がなるとは思わなかったがな!」


話を続けながらまた木刀を振り回す。


「どうだ!参ったか?もう諦めてアリスちゃんと別れるか?あぁ?」


「嫌です‥‥‥」


「あぁ?」


忍先輩はふらつきながらも‥‥‥血を流しながらも‥‥抵抗する。


「私は‥‥‥いや、俺は‥‥‥アリスの彼氏だ。絶対に諦めない‥‥‥」


「あぁ?ふざけんな!お前は死にてぇんだな?ならもっと殴ってやる!」


まるで太鼓を叩くように忍先輩を叩きまくる校長。

ぼこぼこに殴られ‥‥‥血もボタボタと落ちるなか‥‥‥忍先輩はまだ立ち続ける。


「お前は‥‥‥何だ?何なんだ?一体‥‥こんだけ叩きまくっても動じないなんて‥‥」


「あはは‥‥‥動じてはいますよ‥‥‥ただ‥‥‥俺は‥‥‥アリスの彼氏だから‥‥‥立ち上がるだけですから‥‥‥」


「忍‥‥‥」


悲痛な顔でアリス先輩は見つめる。


「そうか‥‥‥わかった‥‥‥お前の退学は許してやる。」


「おじぃちゃん!なら私たちのことも‥‥‥」


「だが」


木刀を投げ捨てると胸元を探りながら‥‥‥

銃を取り出す‥‥‥


「退学じゃない。人生からやり直せ。」


「おじぃちゃん!やめて!」

「アリス先輩!危ない!」

「アリスちゃん危ないよ!こら!犯罪者!銃をおけっ!」


「ならアリスちゃんの彼氏をやめ」


「やめません。」


校長がいいきる前に言葉を発する忍先輩。


「じゃあ仕方ない。」


銃口を忍先輩に向ける校長。


「死ね。」


「忍!忍!忍ぅ~!」








「なんばしよっと!あんたは!」


部屋に響き渡る大声‥‥‥

その方向を見ると‥‥女性が。

うん?何か見たことあるような‥‥‥?


「あ~!あのおばちゃん!私たちにPLANETの場所教えてくれた!」


「え、何で‥‥‥あのおばさんが?」


「なんばしよっと!ホント!あんた!」


「清美(きよみ)‥‥‥さん‥‥‥」


「きよみさん?」


「あぁ‥‥‥‥あれ‥‥‥私のおばあちゃん。」


「え?」


世間はとても狭いんだなと改めて思った。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る