第110話 忍の覚悟と歪み過ぎた愛情。

闘技場。

まさにその通りだった。

というかボクシングの試合をするくらいのレベルの広さの中、今まさに2人がそのリングの中に入っていった‥‥


校長は、まず目立つは真剣、刀を持っている。あの笑みから見て本物に間違いないだろう。本当に本物をもってくるとは思わなかったが‥‥

さらに木刀、ハンマー、ペンチ‥‥等物騒なモノが陳列していた‥‥


「‥‥先輩‥‥おじいさんは、校長は‥‥少しは手加減する気あるんですよね‥‥?」


晃太の問いかけにアリス先輩は‥‥ただ呆然とリングの中を眺めていた。


「やっちゃえー!!忍くーん!クソジジィぶっ飛ばしてやれ~!」


黙り混む2人の中で大声で歓声をあげる香織。


そう言われている忍先輩の武器はバットのみ。



「ふん。バット一本で何ができるのか‥‥」


バカにした言い方をする校長。

ムカつく顔をしている。


「大丈夫です。バット一本で。」


「舐めやがって‥‥」


「‥‥もう勝負ははじまりですか?校長。」


その言葉にカチンっときたのか鞘から刀を取り出し‥‥


「あぁ!はじまりだよ!そして終わりだよ!お前の命がなぁ!?」


っと真剣を忍先輩に向けておもいっきり振りかざす。

しゅっ、っと間一髪のところでかわす忍先輩。振りかざしたところのリングのネットが綺麗に斬られている‥‥


「校長‥‥マジもんのやつマジで使ってる‥」

「おじぃちゃん!」

「忍くん‥‥殺す気?」


振り向く校長が笑いながら話す。


「この真剣はなぁ‥‥いつか来るかもしれない、来たらよくないけど来るかもしれないアリスちゃんの彼氏のために毎日毎日研いた真剣だよ‥‥ほら、お前の生き血を吸いたいって言ってるよ‥‥あはは!」



「悪人の言ってることだよ‥‥」

「おじぃちゃん!もうやめて!」

「あのクソジジィ‥‥」



叫ぶアリス先輩を見て笑顔でこちらをむく。


「じゃあこの男、五十嵐を彼氏にしなかったらいいんだよ‥‥?なら命は助けてあげるから‥‥退学はさせるがな‥‥あはは!」


「おじぃちゃ‥‥」


「アリス。」


忍先輩が呼び掛ける。


「アリス。心配しないでください。私を信じてください。」


「忍‥‥」


「この‥‥ワシの目の前でアリスちゃんを呼び捨てするなぁ!!」


今度は体に差し込む態勢で突進してくる校長。


「忍!」


叫ぶアリス先輩を横目に忍先輩は‥‥

ひゅっと、


「あ?」


真剣の先に体を乗せて‥‥


「うらぁぁぁ!」


おもいっきりバットで叩き割る‥‥‥‥

そして足技で校長の足をすくい倒れさせる。

一瞬過ぎてよく分からなかったが‥‥‥


「とりあえずスゴーい!忍くーん!ファイト!」


身体能力が異常なほど高いことはよく分かった。


「き、き、貴様‥‥‥‥」


倒れこみながら悔しそうに忍先輩を見つめる校長。

そしてそこにバットを振りかざす‥‥‥かと思いきや‥‥バットを捨てる忍先輩‥‥‥


「貴様‥‥‥何を‥‥‥」


「校長の大切な真剣は破壊しました。これで貴方は敗けです。床に手も腰もつきましたし。貴方の敗けです。それに私は、愛する彼女のおじいさんを殴りたくないんですよ。」


「忍‥‥‥」


「校長‥‥‥貴方の敗けです。だからもう‥‥っは‥‥‥」


「え。」

「え?」

「えっ?」


誰もが皆もう忍先輩の男らしさに感動する中‥‥一人、校長だけは‥‥‥

まだ諦めていなかった。


忍先輩の腹に木刀を突き刺しにこりと笑顔を浮かべていた‥‥




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