第109話 強さは折り紙つき、心配事は不幸のうち
校長に詰められた日の次の日、晃太と香織はあるデカイ家の前にいる。
「初めて見たわ。家にこんなでけぇ柵があるの見たの……」
「アニメでよくあるよね~!」
「アニメで、な?現実で見たことないだろ?」
「どうやって開ければ……あ、ここにインターホンある!ポチっ!……あ!アリスちゃん?わたしわたし!香織だよ!香織とこうたんだよ!来たよ!開けて~!」
その言葉を聞くと厳重なセキュリティが解放される。ガラガラガラガラっと扉が開く。
「さっ!いこっ?」
「ビビれよ。ちょっとくらいこの状況に。」
「…………あ、おはよう………来てくれたんだね?」
「もちろん!」
「あ、晃太くんも………ありがとう……」
「あ、いえ………大丈夫ですか?先輩?目の下にクマが出来てますし体調悪そうですけど………?」
「………昨日は何にも食べられないし一睡も出来なかったから………体調は良くない……と思うよ?」
そう言うアリス先輩の声は消え去りそうなくらい小さかった。
忍先輩が投げつけた決闘。
今日それが行われる。
何を使ってもいい。それがすごく引っ掛かるが……ともかく特別ルールで行われる。
忍先輩の言葉により晃太、香織の謹慎は無しになった。あくまで原因は自分一人だと全てを背負って今日の決闘に挑む。
そんな先輩の姿を見ないわけにはいかないため晃太と香織は今日、アリス先輩の家に。正確にはアリス先輩のおじいさんの家。つまり校長の家に来ている。アリス先輩の家は他にあるらしい。やはりアリス先輩は金持ちだったんだなっと改めて納得してしまう。
「そうだ。忍先輩………」
「やぁ、お前らも来たのか。」
「その言葉はクソ野郎!」
「香織………!」
「フッ、小賢しいヤツだな?お前は。お前も闘技場でボコボコにしてやろうか?」
その言葉と顔は校長、いや教育者として見せられない顔だった。
「失礼ですが。香織は関係ないんで止めてもらえますか?そんな危険なバトル……って香織……」
「ありがと!私のために庇ってくれて!大好き!」
ぎゅっーっと抱き締める香織。
その様子を校長は汚ならしく、アリス先輩は少し羨ましそうに見ていた………
「っと………忍先輩は?忍先輩はまだ来てないんですか?」
「あぁ、ヤツなら別室で準備中だ。開始は11時からだ。見るならこの廊下を真っ直ぐ行って右に曲がったところに闘技場はあるからな。来るなら来ればいい。ワシが忍をなぶり殺す姿を見たいならなぁ!アハハハハハ!」
そう言って校長も準備のためなのか部屋に入る。
「気分悪いねっ!」
「………………」
アリス先輩は何とも言えない顔をする……
そりゃそうだ。自分のおじいさんと彼氏がバトルをするのだから……気分がいい訳ない。
「でも!忍くんは元々何かの鬼だったんだから!負ける訳ないよね!大丈夫だよ!アリスちゃん!ね?」
「あ、う、うん………」
やはり心配そうなアリス先輩。
その心配は晃太もだった………
何か………忍先輩は………違う考えをもっているような………いや、考えすぎか……
変なこと言わない方がいい……よな?
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