第108話 姫を助ける一つだけの手段

校長室に響く忍先輩の声。

反響するはずがないのに反響してくる感じが気味の悪さを感じた。


「五十嵐……お前が?」


「私です。私がアリスさんの、いやアリスの彼氏です。」


「アリスちゃんをアリスと呼ぶな!汚らわしい……」


校長の目は言ってはいけないがバキバキで目がキマッテイル。ヤバイ顔だ。


「お前……最初の約束忘れたのか?」


「最初の約束?」


香織が割って入る。


「五十嵐を副生徒会長に指名したのはアリスちゃんだったんだ。アリスちゃんの要望で仕方なく置いていただけの言わば置物、性別とかもない置物という認識でアリスちゃんにも接してと言っていたんだ。だから最初に言ってたはずだ。絶対にアリスちゃんに恋心を抱くんじゃないぞ?と……それが。この有り様か。」


「この有り様って……恋にブレーキはないんだよ?一度好きになったらその気持ちはまるで病気のように体を蝕むんだよ?ね!こうたん?」


「俺にふるな。ふるな。てか蝕むって。絶対に今に適してないからな?」


「……。晃太と香織。お前らはこの2人の関係性を知っていたのか?」


「知っていたというか……」


「相談受けたんだよ!」


「相談?」


「ちょっと香織!」


「この際全部吐き出すべきだよ。アリスちゃんが私たちラブラブカップルにどうしたら好きになってもらえるかを聞いてきたの!そして2人にデートのプランを立てて……まぁ色々あって……付き合うことになったんだよ!」


「色々って……省き過ぎだろ……」


「だって忍先輩の過去知らないかもじゃん?」


「まぁ……そうだけど……」


「何こそこそ話してんだ?」


校長はもう生徒にむけて言う言葉ではない言葉を吐き出す。


「……。ともかく。社 晃太、沢 香織、そして五十嵐 忍。この3人には罰を下す。」


「おじいちゃん!」


「やめてよ!こうたん中卒だと産まれてくる赤ちゃんに申し訳がたたないよ!」


「そこじゃねーよ!バカ!もっと大事なとこあんだろうが!」


中卒になったら職が狭くなるとか色々な問題点が……


「まぁ……。アリスちゃんが相談してアリスちゃんのためを思って行動したのは分かったから……社と沢は謹慎1ヶ月で済ましてやろう。」


「1ヶ月……。」


「その間にベビー用品買いに行こうね?」


「うんなこと言ってる場合か!バカ!」


「で、五十嵐 忍。お前は退学だ。退学。今すぐこの学校から、私の前から、アリスちゃんの前から、出ていけ……」


「嫌です。」


「は?」


キマッテイル校長の顔が更に歪む。


「嫌です。」


「逆らっても無駄だから。お前は約束を破った。この時点でこの場所にはいられないんだ?分かるか?」


「……。校長。いや、おじいさま。

私と試合をしませんか?」


「は?」


「武器は何でもオッケーのマルチルールで。決闘をしましょう。」


「……。アリスちゃんをかけてか?」


「もちろん。」


「……手加減は出来ないぞ?特に今の私は大事なネジが外れているから。手加減なんて言葉はないぞ?」


「大丈夫です。」


「なら……構わん。試合はワシの家の闘技場でしよう。明日な。」


「分かりました。」


とんとん拍子に事が進んでいく。

へ?現代で決闘を申し込むことって……あるの?

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