第101話 諦めた青年は未来を見据える

とかいつものように晃太が香織とアホな会話をしている中……


「………………」


無言でも分かる負のオーラを放つ一人の青年が。

正直喋りかけるのも躊躇われるが仕方ない。

だって………一応親友だし。


「進藤………大丈夫か?」


「……………」


「何かやつれたよな……ホントに大丈夫か?」


マジでやつれてる………可愛そうに……他人事感満載だけどそういうしかないし……

てか一応俺もこうなったことあったし……


「おい………だ、大丈夫か?」


ダメだ。声かけのレパートリーがない。引き出しが少ない。いや、待て。まず友達が彼女に逆レイプされて中だしさせられた時に励ます言葉ってまず限定がまず狭いし……それに現実でありえない出来事だから……それにレパートリーがどうとか言うのは無理。何か漫才の人に聞いてみたいな、こういう状況に陥った時励ます言葉って、何かお題で大喜利みたいになってるけど違うからね?マジで本気の正解を教えて欲しい……

っと頭の中で晃太のツッコミが広がってる中進藤が口を開く。


「晃太………ごめん………」


「え?ごめん?」


予想外の言葉に晃太は驚く。もっと怒号とか呆れとかがくると思ってたのに……


「俺………彼女いること黙ってたじゃん……それもごめん。」


「それもって……お前は何に謝ってるんだ?」


「……………お前らがセックスしたって。香織さんとお前がセックスしたって言った時に俺、だろうなって言ってたよな?」


「うん………多分な?」


てか香織が香織さんになってるのが気になるんだが……


「その時内心俺は爆笑してたんだ………彼女に捕まってヤられるとか笑いもんだなって……」


「お、お……おっ……」


内心で結構なこと思ってやがったな?爆笑すんなよ………


「でも今日で気づいた……女はこえー…………死ぬほど怖かったし死ぬほどキツかった……」


そして……進藤は晃太の肩に手を乗せると…

苦笑いのままこういった。


「こ、こ、これからは……パパ同士頑張ろうな……」


「進藤!まだ諦めんな!まだ出来た訳じゃねーから!」


「でも中だし5回くらい……」


「それでも希望を捨てんな!」


「…………トイザ○スでもいこうかな…」


「気が早いって!」


「ベビーカーって高いらしいよ……」


「知ってる!」


「知ってる?」


「いや………お、俺も一回調べたけど!けど諦めんな!」


「バイトのシフト増やすべきかな?」


「知らない!気を確かに持て!進藤!」


「もっと高額なバイトとかないかな?あ、そう言えば何かバックを運ぶだけで5万の仕事があったような……しようかな……」


「おい!今話題の闇バイト!やるなよ!絶対やるなよ?」


「それフリ?」


「ダチ○ウ倶楽部じゃないから!絶対すんな!」


「勉強もしっかりしていい大学行かないと…あ、手に職か学歴どっちがいいかな?」


「進藤!マジで一旦落ち着け!早まるな!一回普通になれ!」


「今俺ふつー」


「目がヤバイから!ほらこい!水で頭冷やすぞ!」


「水ないじゃん?」


「自販機で買ってかけてやるよ。」


「何も優勝してないのに?」


「シャンパンと同じ格にするな!」


味気ない。マジの意味で味気ない。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る