第98話 708か709、間違えたら人権侵害?いや性的侵害?
「すいません!」
ラブホテルの受付には80くらいのおじぃちゃんが………いや、待てよ。労働基準法はどこへ?まぁいいけど……
「うわぁ?」
情けない声で反応するおじぃちゃん、いや名前で呼ぼう。酒田さん。酒田さん。
「なんだい?お二人もカップルかい?ご利用かい?何分だい?」
「いや、違うくて。え~と今から30分くらい前に若い男と若い女の子が入ってきませんでしたか?若い、高校生くらいの」
「アンちゃん。高校生はここは禁止だよ?まぁ私服とかなら見逃すけどね?」
「いやそこじゃなくて、その2人を探してるんです!モニターとかないんですか?」
「わしゃぁ、他人の交尾を覗く趣味はないからの~。」
「うんじゃあ何かその若い男と女の子についての情報を………」
「今日は若いもんが多くてなぁ………パンパンなんだよ。中でも2人でパンパンしてるんだろうけど。」
「あ、いやそういう言葉はいらないんで…」
「若いカップルなら何人も来たからどこに誰がいるかとかよく分からんのぉ~。」
「んじゃあ!あの部屋の番号が70までは分かってるんです!70の後の一文字の番号を教えてください!てか今貸し出し中のカギを教えてください!」
「というか君らは何をしに来たんだ?セックスするわけでもなくただ問い詰めて……」
「あ、いや……その焦りですいません……」
「仕方ない。こうたん。ここは交換条件として私たちもセックスしにいこ」
「何の交換条件だよ。バカっ。」
とりあえず無視して酒田さんに話を続ける。
「あの……単刀直入にいうと友達の貞操がヤバイんです。」
「ラブホテルに来て貞操がどうこう………ねぇ?」
「いやそうなんですけど。ラブホテルなんでそう言われるのは分かってるんですけど……その子、その友達ゴム無しでヤられそうなんです!」
「女が襲ってんのかい?」
「まぁ、そうですね。」
「スゴいのぉ~。今の若いのは。」
「えへへ………」
「お前は誉められてるようで誉められてねーぞ?」
えへへじゃねーぞ。狼女。
「ともかく………70の番号で今貸し出ししてるのは何個ありますか?一個なら大丈夫なんですけど………」
「70ね~………あ」
「あ、何なんですか?」
「70は今2つ貸し出ししてるね~。
708と709の2つだね~。」
「老体に7階はしんどいのぉ~。疲れたわぁ~。」
「大丈夫ですか?」
「エレベーターで今ボタン一つで来ただけだと思いますけど………」
まぁ、いいけど………
「ともかく………どうするか………」
目の前にある708と709の部屋。
「二択………50パーどうするか………」
「一個パッと開けて違うかったら違うかったらですいません!でいいじゃん?」
「バカっ!それが出来るならハナからしてるわ。」
「じゃあ708の部屋を開けようかの………」
「ちょ、ちょ、ちょっと待って!酒田さんちょっと待ってください!何で!根拠は?」
「え、まずダルいんじゃ。休憩時間だからゆっくりしたいんじゃよ。だからパッパッとすましたいから。」
「だからってそれは無くないですか?人権侵害ですよ?下手すりゃ?」
「大丈夫じゃね。ワシここの上だし。」
「上とか関係なくですね………」
「じゃあ早く決めな?坊主。」
「早く決めな?って…………音も何も聞こえないのに………」
「そりゃあ防音対策万全だからのぉ~。どんなに叫んでも聞こえないよ?」
「今はそれが鬱陶しい………」
あぁ………ヤバイ。突っ込むだけで頭回ってない。
「こうたん。こうたん。」
「何だよ?今頑張って決めてんだよ!」
「もうさっきの音声きれてからもう30分経ったよ♪」
「……………」
「悩んでる暇は無いんじゃない?」
無いんじゃない?ニコっじゃねーんだよ!分かってるんだよ!
「あ~もうじゃあ708で!」
「708でいいんじゃな?」
「いいです!」
「………ファイナルアンサー?」
「いいから開けてください!」
酒田さんがマスターキーで鍵を開ける。
ちょっと躊躇いながらも中に進藤がいることを信じて……
「進藤!大丈夫か………」
と、部屋を見た瞬間…………
晃太は……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます