第95話 強制と一歩

ハニートーストを口にしながら香織が話す話はこんな話だった…………


「ヤンデレ………?お前のことじゃなくて?」


「私のことじゃないよ?てか私はヤンデレじゃないの。純粋な純愛な恋のことだよ!ヤンデレとは違うよっ!ハニートーストのはちみつ鼻につけちゃうぞ♪」


「やめろ!てかベタベタするっ!鼻がベタベタするっ!つけすぎだよ!俺は熊じゃねーし!」


「くまのこーちゃん!」


「くまの○ーさんみたいに言うな!」


おしぼりで鼻を拭く晃太。もうベタベタなんだけど………やめてほしいわ………


「てか百舌鳥先輩がヤンデレ化する?」


「いや、ヤンデレ化したしたんだよ?」


「は?」


「もう食べた。もうアルコール入りのウイスキーボンボンくんを。」


「は?食べた?」


「うん。もう手遅れ。食べちゃった。」


「百舌鳥先輩が?」


「うん。バクバク食べてる。もう私以上にヤバイかもよ?」


「………おい。香織………」


「かおりんだよ?」


「じゃあかおりん。」


「何?」


「早くハニートースト食い終われ。」


「何故に?」


「進藤を助けにいくぞ。」


「いや、行かないでいいでしょ?」


「いや、ヤバイだろ?何その余裕持ってやってるの?」


バクバク食べながら香織は話す。


「一度は修羅場が必要なんだよ?恋人には」


「いらないから。」


「私たちも修羅場を超えて超えて超えて今があるわけじゃん?」


「勝手にお前が修羅場にしてんだろ?」


晃太から修羅場にはしてない。


「で、やっぱり修羅場を超えてこそホントの恋人になるんだよ!」


「そんなモノじゃねーだろ………」


「いや、必要な道だよ!それを超えて男、女、恋人になるんだよ!」


力説しながらパクパクハニートーストを食べる香織。


「だから私たちは小鳥が巣立つのを聞いておこ?」


「……………」


進藤………………。もう頑張れ。それしか言えない。








ウイスキーボンボンを計10個以上食べた百舌鳥先輩。その姿はフラフラしながら……


「ゆ~う~くん?」


「百舌鳥せんぱ……」


シャッっと首を締めてくる百舌鳥先輩。


「愛梨。愛梨。言わなきゃ殺しちゃう🎵」


「ぐ、ぐ、ぐるしい……。」


力が強い…。


「えへへ………言わなきゃ殺す!」


「あ、あ、愛梨………」


「よしっ!オッケー!じゃあ次はハグして!」


「はい?」


「ハグだよ!ハグ!ギュっと。」


「それはむ」


「首を絞めるか頭をケータイの角で殴るかどっちがいい?」


「どっちもダメでしょ!」


「でもどちらか選ばないと………あ、ここにケーキ用のナイフあるじゃん。これでも。」


「ちょっとまって!ハグハグ!ハグします!だからナイフおいてください!」


「うん。じゃあ………」


「……………」


ギュっとする彼女の体。柔らかく温かみがあるその体は…………はじめての感覚だった…


「じゃあ………次はき」


「ちょっと待ってください!」


「ん?何?」


「ハグとかしましたけどその前に……

俺から言いたいことがあるのでいいですか?」


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