第93話 最終段階最終段階悪の手。

「ニシシ。ニシシ。ニシシ。最終段階まで来たね!」


「ニシシって………何だよ?変な笑い方して。」


香織の手には盗聴機が。

いや、ナチュラルに持つなよ………

犯罪ですからね?犯罪。犯罪。


「進藤と百舌鳥先輩はどこいったんだよ?」


「いや、私たちが足を運べるのはここまでみたいだね?」


「はぁ?」


「ここからはこの盗聴ちゃんが頑張って実況してくれるよ!」


盗聴機をポンポンじゃないんだよ………


「足を運べるって………お前が今までどこまでども歩き走りだしたんだろうが。」


「でもこれはこれ以上は2人のプライベートに入っちゃうから。」


「プライベートって………どんなとこでも土足で入るヤツがよく言うよ。」


「ふぅむ。そんなゆーなら一緒に進藤と百舌鳥ちゃんが入った場所にいく?私たちも一度いった場所で私たちにとってめちゃくちゃいい事件が起きた場所なんだけど?」


「は?それって…………」


嫌な予感がしふと香織が止めた足の場所を見ると………


あのラブホテルが。

あの香織に睡眠薬盛られてきたホテルが。

あの香織が酒に酔って本音を出したホテルが。

あの恋人になることを認めないことを諦めたホテルが。


「え、2人………ここに入ったの?」


「盗聴ちゃんとGPSくんがここをさしてるから間違いないよ♪」


「……………」


「さぁ、私たちも入る?」


「…………………いや、近いカフェにでも行こうか。奢るわ。」


「お~♪流石男前!じゃあカフェに行くか~!」


「……………」


ホテルを見上げながら晃太は心で唱える。

進藤………頑張れよ………生きて帰れよ。





「708で~。ごゆっくり~」


「ちょっと待ってください!ちょっと待ってください!ちょっと待ってください!」


何度呼んでも止まらない彼女。抵抗しても無理。無理。もうされるがまま。

そして、光る708の部屋にまるでごみ袋を投げ捨てるように入れられる晃太。

そして閉まるオートロックの部屋。

もう90分は開かない。


「百舌鳥せんぱ……」


「愛梨!で、ベッドまでいくよ!」


「ベッド?ちょっと待ってください!」


「さぁ服脱いで。私も脱ぐから………」


「あ、あ、あ、あ~!ちょっと待ってください!服のボタンを外さないで!」


「何?」


「いや、何で服を脱ぐのですか?」


「香織ちゃんが既成事実をつくればそれでいいって。」


「それは人間としてヤバイ行動ですよ!」


「じゃあ優くんが何かしてくれるの?」


「そ、そ、それは………」


「じゃあ……」


「ふ、服を脱がないでください!あ~あ~あ~!あ!スイーツですって!これ注文しましょ?小腹も空きましたし!」


「……………」


この判断が進藤の人生をグインと変えることになる………

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