第91話 愛故の暴走

「いいね。これ、ゆ、ゆ、ゆ、ゆ、ゆ、You、ゆう、優くん似合ってるよぉ」


「あ、あざいます……」


「じゃあ……これプライベートで……」


「うん?」


「いや、間違えた……ペアルックで着よ。」


どうゆう間違いなんだよ………


「てかペアルック?」


「え?ダメ?」


「ダメとかじゃなくて………しないほうがマシなほうがいいんじゃ……」


「どういう意味?」


ちょっと怒りながら言う。百舌鳥先輩は眉間にシワをを寄せる。


「え、いや……ペアルックとかカップルみたいな行動だからやめたほうがいい……」


「私たちカップルなんだけど。」


「あ。」


進藤は明らかに地雷を踏んだ。


「優くんは私たちの関係をどうしようとしてるの?」


「え、いや………その………」


「恋人になろうと言ったのは私だよ。でもそれにOKしてくれたのは貴方だよね?」


「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと声がデカイ……」


多分異変には気づきつつある。この店内の皆が………。


「OKしてくれたのは貴方ですよね?貴方ですよね?」


顔を近くまで近づけ圧迫してくる百舌鳥先輩。


「百舌鳥先輩………」


「愛梨ぃ!」


「ひっ………」


まるで犬の威嚇、いや、虎の威嚇……いや、恐竜の威嚇だ。

もうこれで完全に店内にバレた。








「今何か声が聞こえなかったか?」


「あ、会計金額見て!4が4つ!4444円!縁起いいね!」


「4が4つは縁起良くないだろ!」


「じゃあ6が4つ?」


「悪魔を出したいのかよ!」


バカな話の前に店内の話だ。


「今声が聞こえただろ?」


「あ~。聞こえたよね~!愛梨ぃって!」


「愛梨って………」


「百舌鳥ちゃんの下の名前だよね?」


「それがデカイ声で聞こえたということは………」


「非常事態。いや、面白い時間の始まりの合図だね!」


「おま、他人事だと思って適当に………」


「適当じゃないよ?もうすぐ進化の時間だよ?」


「は?」


「ゲームで例えるならポケ○ンの卵がもうすぐ産まれそうだって合図が出てる感じだね?」


「なにその分かりやすいような分かりにくいような例え………」


ゲームしないと分からないじゃんまず。


「ともかくこうたん!もうすぐだよ!」


「何が?」


「カウントダウンする?」


「は?」


「いくよ~!10 9 8 7 6 5 4 3 2 1…」


勝手にカウントダウンして何してるんだよ。


「てか何のカウントダウンだ………」


晃太がそういい終わる前に………

一つの試着室が突風のように開き………

そこから出てきた………

百舌鳥先輩と進藤がまるでサイのように突進してきた………


「香織ちゃん!これペアルックで買うから先に買っといて!」


「りょ!」


「りょ、じゃなくて百舌鳥先輩?」


そう晃太が聞く前に百舌鳥先輩は走り出していく。そこに引っ張られる進藤はまるで一反もめんのようですっごい情けなかった……

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