第82話 一発目からぶっ飛ばしていこうぜ。

「お前………あんまりなことすんなよ……?」


「……………」


「おい……無視するなよ……」


「……………」


「おい、香織………?」


喋らずただスマホを打ち続ける香織、その姿が止まり………香織はボタンを押すように画面をタップする。


「よしっ。」


「おい……よしっ。じゃなくてさ……お前何をした……」


「うん。」


「は?」


「これを聞けば分かるから。」


その手にあるのは………許可してもらったという盗聴機………






「ごめんなさい!電車が遅延してましてね!だから遅れて………百舌鳥先輩………?」


「これ………香織ちゃんからのライム……」


「香織ちゃん?ってどっかから見てるのか?」


「……………」


「え、何か書いてあるの?」


「………読んで。」


「…………ん?」


進藤が見たその画面には



進藤、電車が遅延してるって嘘つくのやめろ

どこを調べても遅延してる場所はなかったぞ



と。


「……………」


「ホント?」


「………いや、遅延………てか乗り遅れたみたいな………」


「まだ香織ちゃんからのライムは続くよ。」


「まだ………?」



乗り遅れたとか言い訳するだろうが本音は今日来るのが億劫だったからだろ?



「………これもホント?」


「え、いや………その………」


「私とのデート………そんなに嫌だった…?

そ、そんなに………い、嫌……だ、だ、だっ……」


涙を流す百舌鳥先輩……


「い、い、い、嫌じゃない……ですけど…」


ライムの文はまだ続いていた。



泣かしたな?絶対に泣かしたよな?あの純粋な百舌鳥ちゃんを泣かしたよな?今日私は2人のため、いや、百舌鳥ちゃんメインで考えて今日という日を設けたの。だから特別進藤お前がどうなろうと俺は別にどうでもいいから。


「てか香織ちゃんナチュラルに俺のこと進藤って……呼び捨て……に………」


お前は今日私の言うミッションを全てこなさないと百舌鳥ちゃんと付き合うことは出来ないから。


「は?はぁ?な、なんで?香織ちゃんにそんなこと言われないといけな」



何で私にとか言ってるならお前はお前自身は自分で行動出来るのか?と言いたいね。半年何もしなかったクセに。


「っ………」


まず一つ目のミッションは

手を繋ぐこと。もちろん恋人繋ぎで。

で、嘘をついた、百舌鳥ちゃんを泣かした罰としてプラス手を握る前に手の甲にキスをすること。それをするまで許さない。

というか進藤の罪は許されないから。

しっかりこなすこと。

香織


とライムには書いてあった。

読み終えた進藤の顔は真っ青で体調悪そうで一方百舌鳥先輩の顔は真っ赤で恥ずかしそうで………




「香織………一発目から飛ばしすぎじゃない?」

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