第76話 恋の伝道師の雷が落ちた日。
「マジで香織ちゃんさ……頭おかしいって…」
進藤がそう嘆く。そう、そうなんだよ。香織はね、頭が相当おかしいよ。そこは俺も否定しないから。
「おかしくないよ。私が恋の伝道師となって貴方方2人を導いていくんじゃないか!」
「ちょっと何を言ってるか分からないんですけど……とりあえず手錠は外」
「外しません。」
「まだ言ってる途中だったよ?」
「手錠は外しません。外したければちゃんと私がいうことに従って?」
「何?貴族の遊び?俺は奴隷な訳?」
「……………」
「な、な、何?何さ?何で黙るの?香織ちゃん?」
「はぁ………………」
大きな溜め息をつく恋の伝道師(自称)
「進藤くん。私は君たちのため、いや百舌鳥ちゃんのために言ってるんだよ?そしてやってるんだよ?」
「ために?」
パンっと大きな音を手で鳴らす香織。
うわ、びっくりした………何なの?ストレス?
「進藤くんは百舌鳥先輩のことホントに好きじゃないでしょ?」
「は?」
「え?」
驚く進藤と泣きそうな百舌鳥先輩。
「な、何を言ってるの?好きじゃないと付き合わ」
「さっき進藤くん言ったよね?キスやセックスは結婚してからじゃないと出来ないって、それってつまり百舌鳥先輩とは将来が見えないからするつもりがないってことでしょ?」
「え………」
もう百舌鳥先輩のメンタルが……ブレイクするかもしれない……
「それは……言葉のあやで……」
「そんなので逃げられないよ。それに。」
香織の猛攻はまだ続く。
「告白も百舌鳥ちゃん、校内放送で勇気を出したのも百舌鳥ちゃん。進藤くん、何をしたの?何を頑張ってるの?頑張ってないよね?ただただ流れに身を任せてるだけだよね?」
「そ、それは……」
「百舌鳥ちゃん。この付き合ってた期間何か進藤くんからされた?」
「いや…………デートもしてないし、一緒に帰ってないし……ライムもあんま来ないし…」
ギロッと睨む香織。そこには憎しみと怒りが混ざっていた。
「ちょっと待ってよ!言い訳させて!まだ付き合って半年くらいじゃん?それってまだそれくらいのレベルの関係値なんじゃないか…」
「うんなわけあるかぁぁぁぁぁ!」
ついに香織がキレた。
そして、
カラン。
何故か手錠の鍵を2人に渡す香織。
「え、解除?解除でいいならもう……」
「明日!」
「はいっ!」
香織のデカイ声に無意識に背筋ピンっとなる進藤。
「デートにいってください。2人で。」
「は?」
「へ?」
「デートにいってください。」
「いや、明日学校………」
「でそのデートでミッションをこなしてください。」
「ミッション?」
「そのミッションが一つでも達成出来なければ………百舌鳥ちゃんには悪いけど別れてもらいます。」
「いや、ちょ………」
「…………」
物申したい進藤と絶句の百舌鳥先輩。
「じゃ、ミッションはライムで送るから。それじゃ。いくよ。こうたん。」
「あ、あ、あん……」
「ちょ、ちょ、ちょっと待てよ!おい晃太!
おい社!」
久々に社呼び聞いたな………
「どうしたら………」
「進藤。一つ助言しとくわ。流れに身を任せておけ。じゃあ。」
晃太からできるアドバイスなんてこれくらい……てかアドバイスかどうかも不明だわ。
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