第61話 技名つけるの難しいけどうまくはまるとカッコいい
倒れた中島に駆け寄る数人の男。
ボール直撃で一発で気絶しているようだった。
「てめえ……中島を……どこのどい」
「待てよ。村上。」
「何でだよ。平塚?」
「俺コイツ知ってるからよ。なぁ。副会長さん?」
意地の悪い、そして気味の悪い笑顔を見せる大和。
「お前は……平塚 大和か。生徒会長に御指導された恵まれた生徒……」
「は?恵まれた?ふざけてんすか?アンタらのいらない行動のせいで親父には叩かれるしセンコーにはキツく指導されてアイデンティティの紫の髪が黒に変わったんだぞ?この女のせいで。」
「生徒会長をこの女と呼ぶな。」
鬼気迫る忍の声に笑いをこらえていたのか大和が笑いだす。
「なんすか?自分の女とでも呼ぶつもりっすか?そーすよね?だってこんなプリクラはっつけてる時点で普通の関係じゃないっすよね?」
「生徒会長は俺のモノではない。生徒会長は生徒会長自分自身のモノだ。」
「へ~。そうっすか。じゃあ関係ない副会長さんはそこで尊敬する生徒会長がレイプされる瞬間を見ていてくださ」
バコン!
言い切る前にまた砲台の玉のようにバットからボールが放たれる。それは大和の横にいた村上に……
「村上!てめえ……」
ぞろぞろと集まってくる男子たち。
「副会長さん?この人数見えてます?この戦力差。一人できてヒーロー気取りもいいっすけど一人で相手できるわけないですよ?ボコボコにされるのがオチですよ?尊敬する生徒会長さんの前で情けない姿見せたくないでしょ?」
「忍っ!」
「生徒会長。」
「ほら。生徒会長さんも心配してくれてます……」
「ダメ!」
「ほらね!ダメって……」
「殺しちゃダメよ。」
「え?」
「つまり半殺しはオッケーと。」
「あ?何をいって……」
大和がそう言い切る前に……
竜巻が起きた。
「鉄追 龍撒(てっつい たつまき)」
バットで起こされたその竜巻は数人を巻き込み壁へとぶつかっていく。
「おい!お前ら何をしてんだ!相手は一人だ」
「鉄追 三惨蛇砲台(てっつい さんざんじゃほう)」
次はバットから放たれた残る3つの球がまるで蛇のように曲がりくねりながら多数の男子生徒の腹に直撃し倒れていく。
「おい!お前ら!ふざけてんじゃねーぞ!相手は一人だぞ?何を……」
騒ぐ大和の隣で震える一人の男子生徒が。
「どうした!飯塚?」
「大和くん……あの人の名前……なんて…」
「あ?五十嵐 忍だよ。」
「や、や、やっぱり……」
飯塚は顔が青くなっていく。
「どうしたんだよ?」
「大和くん知ってるでしょ?鉄追の鬼の話……」
「あぁ……あの伝説の一人で街一番の不良グループにかちこんで一人で250人程度を沈めた不良界の伝説……」
「それ。あれ。」
「あ?」
「それが。あれ。」
「あ……?あぁ?うんな訳ないだろ……」
「いや間違いない。
不良のカリスマ 鉄追の鬼は……あそこでバットで一人一人ぶっとばしてる……五十嵐 忍さんなんだよ……」
「………………」
もう残り少ない人数………というか。
大和と飯塚しかいない…………
五十嵐の顔には血が飛び散りメガネも外している。
「ゆ、許してください!僕はこんなことするなんて知らなかったんです!」
「飯塚!お前!情けないことすんな!」
「じゃないと殺される………」
「大丈夫だ。生徒会長命令だ。半殺しにしてやるから。」
「嫌だ~!」
「飯塚!」
逃げだした飯塚。しかし五十嵐はバットを突きの態勢をとって………
「鉄追 突一線(てっつい つきいっせん)」
「ぎゃああああああ!」
まるで空気を切り裂くようにバットの勢いが飯塚にぶっとばした。
「……………」
残るのは………大和ただ一人。
他の奴等はもう倒れている。
「ふ、ふざけんなよ!俺だって!格闘技してんだよ!ふざけんなよ!誰が鉄追の鬼だよ!俺がぶっとばしてや」
「鉄追 奥義 首切裂旋風(てっついおうぎ くびきりせんぷう)」
大和はバットの連打を打たれ続けられる。
あまりの勢いに膝から崩れ落ちる………
「ごほっ…………」
「てめえは首謀者だろ?」
「や、やめ………」
「お前だけは殺してもいいと俺の中の正義がいってる。」
「た、たすけ……」
「鉄追 奥義 五月雨桜吹雪!(てっついおうぎさみだれさくらふぶき)」
ここで完全に大和の意識は吹き飛んだ。
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