第60話 金属バットは不良のアイデンティティ

ここはどこ…………?アリスの目が覚めた瞬間広がる景色は見たこともない寂れた廃工場だった。ぎゅっ……手は縄か何かで縛られていて動かない。


「お。お目覚めですか?生徒会長さん。」


聞こえてきた声の方を見ると男の姿が……

その姿にアリスは見覚えがあった。


「平塚 大和?」


「お~。覚えてくれてたんすね?ありがたい。ありがたい。そーですよ。アンタに更正させられていい子ちゃんになった平塚 大和ですよ?」


「何で貴方が……?」


「いやね~?俺の仲間たちがね~?」


後ろを見ると40人以上の男子生徒が……違う高校だろうか……校章などが全員違う。


「大和くんの更正した原因は誰だ誰だって言って聞かなくてですねー。そしたら何と目の前に生徒会長さんがいるじゃないっすか?だから……」


「だから……何?いや……ちょっと……!」


白いワンピースを脱がせようとする周りの男たち。


「だからこれは復讐にちょうどいいなぁ、と思いましてね?」


「いや!やめて!」


「よーし、お前ら好きにしていいぞ。」


「よっしゃあ!」


そう言うと周りの男子たちがズボンを下ろそうとガチャガチャとする。


「いや!やめてっ!」


「当てましょか?生徒会長処女でしょ?いいじゃないっすか?処女卒業をレイプで迎えるなんて中々ないっすよ?ハハッ。」


大和は意地の悪い笑みを浮かべる。


「助けて……」


「無理っすよ。こんなとこ誰も来ないし、まずスマホも今没収中ですから……ってこのプリクラあの副会長さんじゃないっすか?あ、まさかそーゆー関係なんですか?」


「ちが、忍とはそんな関係じゃ……」


「あ~生徒会長さんが好きなんすね?ならよりいいじゃないっすか。処女卒業をレイプで迎えて好きな人に好きって言えずにレイプされる、俺にとってこんな復讐ないっすよ!」


「……」


「あら?諦めたんすか?最後の最後まで騒いでくださいよ?じゃないとレイプが楽しめないじゃないっすか?ほら?ほら?助けてーって副会長さん助けてーって言ってくださいよ?泣いて泣いて泣きわめいてくださいy」


ドカン!



大和が言葉を言い切る前に何か大砲のようなモノが飛んできた。そして……


「中島!どうした!」


一人の男子生徒が吹き飛ばされ倒れた。

壁まで飛んでいった中島と呼ばれた彼の倒れた後には……


「ボール?野球のボール?」


コロコロコロコロと転がってくるのは野球のボール……それは新品で……


「あれ?あのボールって……」



カランカランカラン……



「誰だ?お前は?」




カランカラン……カランカラン……っと音を鳴らしながらやってきたのは……




「五十嵐ぃ。忍ぅ。五十嵐忍!どうも。クソども」


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