第53話 副生徒会長とバット

「シャーペン買えましたね………同じモノ買わせていただいて良かったのです…」


「良き!」


「あ、は、はい。わ、わかりました……」





「無理矢理過ぎないか?」


「無理矢理でも同じモノ買えたんだからいいんだよ!で。ほい。」


「ん?何?」


香織が何かを渡してくる。


「何?何これ………ってこれシャーペンじゃん?さっきアリスさん達が選らばなかったほうのシャーペンじゃん?」


「2つ買ってきました!これでおそろ~だね!うん?どうしたの?」


「オレシャーペン使うほど勉強しな」


「あ、シャーペンこれ以外いらないんだね!よしっ!じゃあ帰ったらシャーペン全部折りまくってあげるよ!」


「怖いから。まず。」





「ではこれで私は………」


「ちょ、待ち。」


アリスは忍の肩をグッと押さえ帰ろうとする彼を止める。


「な、な、何かみ、見ない?見にいかない?」


「はい?」


「見にいく時間もあるでしょ?時間あるでしょ?だから………どっか行かない?」


必死に伝える彼女。


「いや、アリスさんのお付き添いで来たので私は何も………」


「忍……あ、忍!」


「あ、は、はい。な、なんでしょうか?」


「久しぶりに アレ 見に行かない?」





「どこにいくつもりなんだろうな?」


晃太は溜め息混じりにそう言う。


「溜め息メッ!だよ!何かアリスが忍先輩を誘ったみたいだから!ついていくよ!」


「オレらいるか?必要なくないか?別」


「沢尻エリ化させないよ!」


「何?うまくいったつもりか?」


別に?じゃねーのかよ。



ついていった先にあったのは……


「野球グッズ?」


そこに広がっていたのは野球のボールやバットなどがあった。


「野球専門店?ここ何階だ?」


「7階だよ?」


「だいぶ高いとこに来たな……てか……」



「おぉ………………」


「久しぶりに見た?」


「あ、は、はい。そうですね。昔のことなんであんな時代もあったなぁ………と思い出しました。」


「………持ってもいいのよ?」


「いいんですか?」


「いいわよ。」


恐る恐る手を伸ばしバットを握る忍。


「おぉ………」


「何?ちょっと感動してる?それともしっくりしてる?」


「いや……いや………いや、私にはもう必要のないモノですから………」


「いや、バットを見つめてる貴方スゴくいい顔してたわよ?」


「あっ………」


「ふふ…………バットとボールくらいいいんじゃない?買っても?」


「…………ホントですか?」


「嘘はつかないわよ?」


「………すいません。買ってきます。」


そう言うと忍先輩は金属バットと野球ボールを5個ほど買いにいった。




「忍先輩、昔野球でもしてたのかな?だからあんなにキラキラしてたのかな?なぁ、どう思う?かお………」


「すいませ~ん!小さいバットとかあります?ビリビリするとか何か特典がついてるとかいいんですけど!」


「香織………何してんだよ………」


「あ、ビリビリバットあります?あ、それほしいです!」


「ちょ、ちょっと待てや!何のために買う……」


ニヤァ…………


いやいや、その笑顔で分かるけど分かりたくないんだけどぉ?

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