第40話 一歩譲ってるし百歩も千歩も譲ってる
その後は祭りだった。
カラオケの音楽が鳴らされその中で女子グループは香織に良かったね~!と何回もいったり食べ物を食い続けその流れで指輪を何度も観賞し、男子グループはスッと晃太の前に酒が流れるように置かれ。
はい、どうぞ。
みたいな感じで親父と大五郎さんがこっちに目線を向け………
いや、飲まないしっ!飲んだら終わりだろ!法律あるから!
そんな晃太を差し置いて盛り上がる5人。
……………
食って飲んで喋って……食って飲んで喋って
一時間後。
倒れこむ5人の姿がそこにはあった。
まるで屍。いや生きてるけどね?生きた屍。
アニメキャラにそんなのいたな………
ひとつなぎの秘宝探しに出てください。
皆さんで。
「はぁ…………………ちょっとシャワー借りるか…………」
酒池肉林でその中で倒れる5人を跨いで何とかシャワーを借りるために風呂場に。
シャワーをかけながらはぁ………っとため息をつく。
「これからどうしよう………マジで。」
恋人は了承してしまった訳だし。これ以上うだうだは言えねーし。
指には指輪が光ってるし………
「これも重いんだよな………マジで………」
「そんな重くないよ?軽いよ?この指輪。」
「そうかぁ?って、ん?」
独り言のはずなのに返答が返ってきてる。
返ってきてる……返ってきてる…返ってきて
「お前なんでいるんだよ!」
お風呂のドアの前に彼女の姿、そう、香織の姿が。
「お前倒れてたじゃねーか!」
「私はお酒を飲んでないもん!シラフだもん!後の大人はシラフじゃないけど!」
「まぁ、そうだけどよ………」
「それでちょっと横になってたら晃太くんがどっかいく姿が見えたから。あ、これは追跡しなきゃと」
「どこからきてんだ?その本能は?」
いらねー本能だな。
「そしたらお風呂に入っていったから、こうやってタオルを準備しにきた訳だよ。」
「あ、それはありがたい。さんきゅ。」
「可愛い香織ちゃんって言ってくれたらポイントあがるよ?」
「ポイントいらないんでいいわ。」
ウフフっと笑い声が聞こえた………その数秒後沈黙が続く。
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
「あんさ?俺もう出たいんだけどそこ退いてくれ」
「晃太くんが話してくれたことに偽りはない?」
「は?」
「だから、さっき話してた内容に嘘偽りはないかって………」
「ないよ。あんな袋のネズミの状態で嘘つけねーからよ。」
「じゃあ私がお酒に酔っていったこともホントのことってこと?」
「だからホントだって。嘘偽りなしで喋ったって。」
「……………」
「なんだよ?どうしたんだよ?」
「私…………確かにそのいじめられていた記憶あるしアノ子も覚えてるよ。」
「あぁ。」
「けど、そんなに自分の中で重荷になってたなんて思ってなかったんだ。」
「は?」
「確かに宣言したのは覚えてる。けど小学生の時のことだし正直何にも晃太くんは覚えてないって思ってた。だけど覚えててくれた。
その時点で嬉しかったんだと思うんだ。」
「あぁん………」
何がいいたいんだ?香織は。
「晃太くん。」
「あぁ?」
「ホントに彼氏彼女になってもいいの?」
「はぁ?お前が聞くのかそれを?」
「私だから聞くんだよ。話聞いてる限り私の押しきり相撲みたいなモノだったじゃん?そんな状態で恋人になってくれるなんて………晃太くんは嫌じゃないの?」
「今更………2回も無理矢理してきたヤツの台詞とは思えないな………マジで。」
「性欲には人間勝てないから。」
「猿以下だな。お前。」
「そんなことはいいから。ホントにいいの?」
「そんなことって………」
「今ならまだ間に合うかも………」
「言っただろ?罪滅ぼしも入ってるって。俺もお前に大変失礼なことしてんだよ。お前が頑張ってる理由が俺に認められるためなのにちょっと皮肉めいた言葉はいて………まぁそれだけじゃないけど。もうここまで外堀埋められてんだ。逃げるより場におさまったほうがマシだと考えただけだよ。」
「そうなの?」
「そうだよ。なんだよ?お前らしくねーな?心配ばっかりして。」
「……………」
「ともかく俺とお前は恋人になってしまった訳だ。残念ながら。これからどうするか一度相談をだな。」
「あとそれとっ」
「ん?」
「それと……………」
「ん?なんだよ?一体?」
「酔ってる時に私にキスしたんだよね?」
「あーしたな。」
「唇に?」
「唇だったんじゃねーか?言葉を押さえるためだったし。」
「………………………さい…………きす……そん…………ちょ……きに……ない……」
「ん?何?何言ってんの?聞きにくいんだけど?」
「こ、晃太くんは私の部屋じゃなくてお父さんの部屋でもつかって寝て?わ、私はもう寝るから!」
「ちょ、お前………なんなんだよ?アイツ一体?」
何か不満でもあるのか?もう100歩以上譲っている気がするが?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます