第38話 勝手に外堀は埋められる。もちろん強制的に。

「はぁ………」

「ふぅ~」


時刻は11時。

場所は公園。

疎らに人はいるが赤ちゃんを連れたお母さんやおじぃさん おばぁさんの談笑する姿等が見える………が若いモノの姿は見えない。

当たり前といえば当たり前か、だって

平日の昼間だもの。そりゃあ学校行ってるよ普通の子は行ってるよ。うん、俺らみたいな異常なヤツらは行かないけどね…………


「今から行けば昼からの授業は間に合うんじゃねーの?間に合うようにいく」


「行かない!」


「即答すぎるだろ。ちなみに何故?」


「行くのがめんどくさいというのもあるけどぉ~?」


「ぶっちゃけるなぁ………」


「ちゃんと正装してからいきたいからね!」


「正装?正装ってなんだよ?」


「正装は正装だよ!」


「その正装の中身を教えろよ!」


「ちゃんと学生服を着て!ちゃんと身だしなみをして!この指輪を見せて!見せて!見せて!見せて!行きたいからね!」


「………………そんな感情でいきたくねーよ………」


「行くんだよ!」


「行かないよ。」


「行かないと言っても行くんだよ!強制的に!」


「強制的に流されないからな?」


「流されるよ!答えはこれっ!」


「これ?うん?ライム?」


香織が出してくるスマホの画面にはライムのホームがあって………



晃太くんと恋人に彼氏に夫になってもらったよ!後ホテルに泊まったんだけどそこでお酒入りのチョコ食べて頭の中が空っぽになっちゃったんだ!でそこで何かあったらしいんだけど教えてくれないんだよ?だから今日夜私の家に皆呼んで今日あったことを話してもらうから晃太くんのお母さんもお父さんも呼んでうちのお父さんも呼んで喋ってもらうね!だからご飯と呼び出しよろしく!


りょ。



「……………」


ライムの文面も突っ込みたいけど。

宛先の香織のお母さん、りょ。じゃないし既読つけんのも早すぎんだよ。バカじゃねーの?


「てかお前は何勝手に開いてんだよ?」


「会合だよ!」


「会合すんな!」


「だってこうでもしないと教えてくれないでしょ?」


「なら今お前だけに教えるわ。あのなぁ…」


「ダメ!ダメ!今はもうダメ!皆で皆の前で堂々と話してほしいから!」


「嫌だからお前だけに話」


「ダメ!もうこれが決まったから。ダメ!確定事項だから!」


勝手に決めて勝手に言って勝手に開いて何を言ってんだよコイツ。


「だから今日お願いね?」


「お願いねじゃねーよ!お前が勝手に開いて………」


「今更そんなこと言われてもむ~り~♪だから頑張れ!」


「しばくぞ?」


「いや~、ドメスティックぅ~!」


「DVでいいだろ!」


あ~あ~めんどくさいめんどくさいどうしたらいいんだろ。てかまず大五郎さんに殺されるかもしんないぞ?

あ~、どうしよう。嘘をつく訳にもいかないしな…………あ~あ~夜にならないで……

なんて無理だし。時間は残酷だと知ってるけどな……

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