第37話 愛とか技術とか詰め込まれたら感情論的にも重く感じる
「朝からうるさいヤツだな。」
「久しぶり~!兵蔵おじぃちゃん!」
初めに会った時みたいな顔でこちらを向く兵蔵さん。
つまりは不機嫌 頑固じいさんのまま。
「指輪は出来た~?」
「…………その前にだ。」
「うん?」
「言うべきことがあるだろ?お前ら」
「う~ん……………?なんだろ?分かんない!」
「……………何だ?ワシから言わないといけないのか?」
冷たい言葉で突き刺す兵蔵さん。
これ以上ほっとく訳いかないな………
「分かってます。すいません。色々あって1日ごになっちゃいました。すいません。謝るしか出来ないですけどすいません。」
「色々と言っても色々あるだろ。分かるように説明してみろ。」
「説明ですか……………?」
説明…………どっから説明すればいい?
カラオケ行ったこと?いや、そこは芯を食うところじゃないし………弁当?それはまず伝えたくないし。何だ?何だ?
「ホテルに行ったんだよ!」
「ん?」
晃太が言葉を選んでる中無造作に掴み取った言葉を投げ込んでくる香織。
「ラブのホテルに行ったんだ………痛い!痛い!」
「お前は何で正直に喋る?」
「正直に喋るように教育されてるから!」
「おー。凄い行き届いた教育ぅ~。じゃなくてめんどくせぇことになる場合は言わなくていいんだよ!バカ!」
「つまりあれか?」
割って入る兵蔵さん。
「またヤってきたのか?ワシが指輪をつくってる間に。ご苦労なことだな?」
「違いますよ?」
「違わないだろ?そんな場所にいってヤらないほうが変だろう?」
「無理矢理連れていかれたんですよ。」
「無理矢理?」
「そうっす。このバカに薬盛られて、寝させられて………気づいたらベッドの上で………」
「行きはどうであれ中では入ってしまえばもう終わりだろ?ヤるしかない………」
「だからヤってないっすよ。説明すればするほど長く長くなるんで説明はだいぶはしょりますけど………コイツ、香織が酒入りのチョコ食いまして、それで酔いまして。うんでなんやかんやありまして。で今に至ります。」
「晃太くん!大事なとこが抜けてるよ!」
「あ?」
「なんと!やっと晃太くんが折れてくれて恋人、彼氏、夫になる決心をしてくれ」
「夫以外は本当です。夫以外は一応ほんとのことっす。けどあんまり関係ない」
「なるほど。つまりワシの言うことを守った訳だな?」
「え?」
兵蔵さんは1つ大きく首を縦にふる。
「このワシにつくってもらった恋人はもれなく結ばれる、その言葉に気づいてもう諦めた訳だな?いい考えだな。」
「…………諦めた訳じゃないっすけど、まぁ………ちょっと罪滅ぼしの気持ちは入ってますよ。」
「罪滅ぼし?」
「何それ?私も分かんない!」
「とりあえず!指輪、見せてもらっていいっすか?」
指輪の店主と香織に詰め寄られる状況理解し難いから。さっさと指輪見せて。
「まぁ、いい。色々あって結ばれた状況になったんだな?ならいい。丁度いい。丁度ワシの指輪が役にたつ………というか光輝く。持ってくる」
そう言って持ってきた兵蔵さんの手には。
「綺麗!」
「ピンク?」
「ピンクダイヤの小さいヤツだ。それをリングにつけている。」
「え?可愛い!めちゃ可愛い!おじぃちゃんセンスありまくりじゃん!」
「それだけじゃない。中を見ろ。」
「なか?」
「ピンクダイヤの中だ。そこに線が引かれているだろ?」
「あ、本当だ!引かれてる!」
「その線を二人指にはめて引っ付けてみろ。」
「はい!分かった!はい!晃太くん!」
「気が早すぎないか?」
「やれば分かる!」
「……………」
高岸かよ。やれば出来るかよ。
とにもかくにもつけてみた晃太と香織。
「二人とも近づけてみろ」
指と指を近づけていく二人。すると…………
線が重なりあい………ハートの柄を描いた。
「おじぃちゃん…………」
「ワシなりにしてみた。文句があるなら文句を言えるならいってみ」
「いや!素晴らしすぎるよ!これだよ!私が求めてたのは!最高だよ!最高すぎるよ!ありがとう!おじぃちゃん!」
手を繋ぎブンブンふる香織。案外兵蔵さんも満更でも無さそうなんだよな…………
二人ががっしりと手をくみかわす中電気に向け指輪をかざしてみる晃太。
これがこれから一緒に一生一緒にともにするモノになるかもしれないのか。重いなぁ。リングは軽いはずなのに手が重く感じるんだよな………
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