第32話 過去編に突入するには前置きが必要

千鳥足。

それはお笑いコンビ 千鳥の足のことで……ってそんなくだらないことはいいや。

千鳥足というのは一般的に酒類アルコール類を含んだ時に耐性が弱い人がなるフラフラな姿のこと。


「え?何で酔ってんの?」


「よってないよ~♪」


「その顔色と呂律みたら一発で分かるわ。お前は酔ってる。」


ニコニコ笑顔がさらに眩しくなったな。コイツ。酒飲むと笑い上戸になるのか?


「てかお前アルコール類無理なら無理って先に言って避けておけよ?バカだな。」


「ちがうよ~!アルコールはだいじょうぶなの!」


「その呂律とよく言えるな?」


「えへへ♪でもまえおかーさんがかってきたういすきーぽんぽんをー?」


「多分ボンボンだと思うぞ?そんなチャラ男ばりにpon pon してないはずだけど?」


「そのpon pon を~」


「聞けや!うんで発音をponに合わせんな!」


「おいしくてめちゃめちゃめちゃめちゃたべたの?」


「めちゃどんだけつけるんだよ?」


「そしたらおきてじぶんのへやのなかをみたらものがさんらんしてたんだよ!これはみすてりーだよ!pon ponのなぞだよ!」


「ただお前が酔って暴れただけだろ!てか暴れんのかよ?もう笑い上戸のままでいいからストップしろ!」


「え?まだまだういすきーぽんぽんあるよ?わいんにわいんにわいんってかいてあるよ?」


「オールワインじゃねーか!食べん」


「にゃ!たべちゃった!」


残っていたウイスキーボンボンの酒パターンのヤツ全部平らげやがった。


「もう…………知らねーぞ?俺暴れても止めないからな?」


「そんな~おっとじゃん?」


「おっとじゃねーよ!」


「だんなじゃん?」


「旦那じゃねーよ!言い方の問題ではないんだよ!俺たちは無理矢理こーゆー関係になっただけのいわば………」




「ガラスの関係。」



「そうガラスの関係………って……え?」


そのガラスの関係と自ら宣言したのは………

香織本人だった。


「でしょ?晃太くん?」


「いや………そ、そうなんだけど………」


「分かってるよ。分かってる。」


彼女の顔はさっきの笑顔から泣き顔に………

笑い上戸から泣き上戸へと変貌した………


「私は知ってるんだ。2回もヤっても心の距離は離れたまま………当たり前だけどね?私が悪いんだけど………無理矢理襲った私が悪いんだけどね………」


「か、か、香織?」


「晃太くん。」


「あ、は、はい………」


「ちょっと私の昔話を聞いてくれる?」


「昔話?」


「そう。私が親友だった晃太くんを恋として好きになった時の話。」


「恋として好きになった話?」


「あれはもう小学生の頃かな?」


「ちょっと待て!小学生の頃からもう親友という関係は瓦解してたのかよ?」


「バリバリに崩壊してたよ。」


「バリバリにっていうなよ………」




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