第27話 ラブソングは一人に向けて歌うものではなく多数の複数の人物に向けて歌うものである。
「何さ?せっかくいい感じで歌えてるのに水ささないでくれる?次はマキシマムのぶっ生きか………」
「何で選曲そんなのばっかりなの?」
「へ?別にいいじゃん?歌いに来たんだから何を歌っても関係ないじゃん?」
「それにお前2曲目完全に替え歌してたよな?」
「してたよ!気づいてくれたんだ!愛だね!」
「愛とかじゃなくてさ………よく点数取れたな………とも思うし俺の癖を歌詞に上手く同化させてすげぇとは思ったけど………けど!
カラオケで最初に!うんで一番自信がある的な感じで歌うのは違うくないか?」
「歌いたい歌を歌う。それがカラオケでしょ?」
「それはそうなんだけど………お前………あんな歌詞のこと思ってんの?」
「あんなって?」
「人差し指で君の目を突くとか浮気は死して償うとか夢で中であなたを殺してしまいたいとか………」
「あはは………!何言ってるの!全部全部全部ホントに決まってるじゃん!逃がす訳ないじゃん?浮気はしたら焼いてほしい?煮てほしい?凍らしてほしい?どれがいい?」
「………………」
笑顔で聞く辺りサイコパスの感じが強いですね。はい。現場からは以上です。あ、異常です。
「ともかく2曲90点出したんだから恋愛ソング歌ってね?替え歌で!晃太くんも替え歌で90点取れれば私がプレゼントしてあげるから!何かを!」
「何かをってなんだよ?」
「何かは何かだよ。」
「……………」
「何にしてもらおうかな~?」
デンモクを見ながら楽しそうにする香織。
それをただじーと見るだけの晃太。
どうせやらないといけないならやって終わらしたい。
「やっぱりこれかな?」
香織の指差してるところにはジャニーズのある漫画の実写化の歌があった。
「君のところとか変えれそうなところは全て変えてね?ポチっ」
「ちょ、ちょ、ちょいちょい、ちょっと待て!」
何のプランもなく進まされた晃太…………
全くプランはない。どうしようもない……
え~え~い!もういくしかない!
輝いたのは鏡でも太陽でもなくて
香織だと気づいたときから
あの涙ぐむ雲のずっと上には微笑む月
Iove story またひとつ
傷ついた夢はきのうの彼方へ
空に響け 香織の歌
思い出ずっとずっと忘れない空
ふたりが離れていっても
こんな好きな人に出逢う季節二度と無い
光ってもっと最高の香織
きっとそっと想い届く
信じることがすべてLove so Sweet………
「ぜぇ………ぜぇ……………これでど、うわ!」
歌い終わった彼の前には涙を流す香織の姿が…………
「完璧。完璧。完璧。完璧。愛を感じたよ!」
「無理矢理の愛だけ」
「点数も91.87!すごい愛を感じたよ!」
「………………」
計算壊れてるんじゃないか?この機械?
「じゃあ次はこれ!」
「まだあんのかよ!」
「まだあるよ!まだあるよ!次はこれね?」
これは………これまたジャニーズのデビュー曲………
「これもフィーリングでよろしく!じゃあポチ!」
「ポチじゃねーよ!ちょっと待て………」
「早く聞かせて?」
「ふざけんなよ………後で覚えとけよ?」
ともかく歌うしか道はない……やるしかないのだ。
香織はシンデレラガール
My precious one
You're the only flowering heroine
どんなときもずっとそばで
まぶしいその笑顔見せて
やがてシンデレラガール
魔法が解ける日が来たって
いつになっても幾つになっても
ボクは香織を守り続ける
このあと3分30秒ほどこの地獄は続いた。
で、彼女は………また泣いて………というか………ピッと何かを押す音が………
「保管させていただきました。これは家宝にします。晃太くんコレクション一番のものになるかも!最高だね!」
「…………………」
どうしよう。どう頑張っても香織の裏をとれないんだけど。マジで。
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