第25話 デートの種類は多種多様

「いいのが出来るといいね~♪」


「……………」


「いいね~♪」


「……………」


「次反応しなかったら息子を鷲掴みする。」


「どういう理屈と頭でそんな言葉が出てくんだ?お前は?」


「だって反応してくれないんだもん!」


「反応したくないしまず今一瞬虚無の状態でいたいんだよ。」


「虚無の状態もいいけど、次いく場所決めよ~?」


「ブラブラしてこいって言われたから?」


「そう!だからどっか行こうよ!」


「どっかってどこだよ。」


「ゲーセンとか?カラオケとか?」


「定番だな…………」


「定番で良くない?定番のデートをしてこそ真のカップルでしょ!」


「カップルをまず認めてないからな?」


「それかちょっと早いけどご飯食べる?」


「まぁ………飯ならなんでもいいけど……何処でもいいけど……」


「何言ってるの?」


「は?」


「なんでお店を探してるの?」


「あ?飯を食べるんだろ?なら飯屋を探すのが普通だろうが?」


「ちょいちょい。」


「あ?」


「ちょいちょい。」


「あ?なんだよ?バックの中指差して……」


バックの中を除きこむとそこには……

紫の弁当箱が一つあった。


「……………これは?」


「私の手作りお弁当!今から食べ」


「いや、ちょっと待て。一旦ゲーセンかカラオケいってからにしようぜ?」


「何で?」


「何でって……………あ。そうそう腹ちゃんと空かしてからの方がいいじゃん!」


「まぁ、そうだけど。何でそんなに汗をかいてるの?」


「汗なんかかいてないよ?じめじめしてるからだな。」


「あ、分かった~!何か私がこの弁当に入れてないか心配なんでしょ~?」


「……………」


ビンゴ。


「大丈夫だよ! 愛 と 汗 と 魅惑をいれただけだから?安心して?」


「……………あぁ…………でも先にゲーセンかカラオケに行こうか…………」


「うん!いいね!じゃあ行こうか!」


すぐに手を繋ぎ逃げられないようにする彼女。


お弁当の魅惑って何ですか?聞いてより訳分からなくなった、というか怖くなったんですけど…………


「どっちにする?ゲーセンかカラオケ!どっちもいける時間はあるよ!たっぷりあるよ?」


「お前の計算でこのデートの時間リミッターは何時な訳?」


「何言ってるの!オールに決まってるじゃん!」


ニコニコ笑顔で不良少女はそういう。


「俺は18時くらいには帰るからな?」


「大丈夫。絶対に帰らせないから。」


「絶対になんだよ?」


「絶対は絶対だよ?絶対に逃げられない。蜘蛛の糸に絡まった蝶なんだから晃太くんは。

フフフっ………」


そう笑う彼女の行動に気づけていればあんなことにはならなかったしまずこれは神様が導いた線路だったんだろうと、そう思える、今全てが終わった今なら。




「じゃあ………まずカラオケいくか。」


「カラオケ!久々!めっちゃ歌うぞ!」


「一時間?」


「何言ってるの?フリーだよ!フリー!フリーで声枯らすまで歌いまくるぞ~!」


いつまでもどこまでもアホで元気なヤツだ。

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