第16話 二回戦

「服とかテキトーに………」


「ダメだよ!」


「あ?」


「明日はデートだよ?気合いをいれた服にしないとっ!」


「知らねーよ。服は服だろ。」


「されど服だよ?」


「うるせぇ。」


「私との初デートテキトーな服で来たら怒るよ?」


「テキトーっていつものGジャン的なのは…」


「ダメ!絶対ダメ!タキシードとか。」


「どこぞのホストでもそんなことしねーから。」


何故街中をタキシードで闊歩せねばならないのだ。


「じゃあ仕方ないなぁ。私が選ぶよ!これ!」


「それって………俺が保管用に置いてる好きなアーティストの服………」


「それを使ったらいいよ?」


「汚したくないから着てないんだよ?」


「服は着るモノでしょ?」


「着るモノだけどこれは特別………」


「特別だからこそ明日きてほしい!」


「…………ふざけんなよ。」


「じゃあこうしよう。晃太くんがこれを着ないなら私は服を着ずに真っ裸で出るね!横に真っ裸の女引き連れて歩いて」


「着ます着ます。明日はこれ着ます。」


「やったー!明日は楽しみ!」


手を挙げる彼女だが無理矢理だろう……っといいたかったが……もう突っ込むことすらめんどくさい。


「後は金か………財布何処だ?あ、あった。」


「今何円ある?」


「3万くらい?」


「それじゃあ指輪は買えないね?引き落とさないと!」


「何でお前に命令されなきゃいけないんだよ?」


「命令じゃないよ?これはただの権利。」


「何の権利だよ!」


「権利は権利だよ。てか晃太くん強いね?」


「あ?何が?」


「 まだ きかないんだ 」


「は?」


彼女のその言葉と共に………晃太の体が一気にだるくなる………


「な、なんら……これ………」


舌も回らない。ヤバイ……倒れる………


ドサッとベッドに流れるように押し込む香織。

そしてベッドの上で倒れ込む晃太。

………その上には香織が……満面の笑みの香織が………


「おま……なにしら?」


「お茶に薬いれただけ。すこーし体が鈍くなる薬を。」


「はんざいにゃ………」


「犯罪じゃないよ?これは狂おしき

愛だよ!」


そう言って服を脱ぎ出す彼女………


「ちょっと待て………」


「あ、そうだ。1つ訂正しないといけないんだ。私は生理中じゃないよ?」


「は?」


「絶賛排卵日だよ?」


「はいら……」


「今も昨日も………何か恥ずかしくて嘘ついちゃったの!ごめんね?」


「はずかし………」


「でも大丈夫!今なら言えるよ!」


口になにかを含む香織………


「お前………何を………」


「赤ちゃんが出来やすくなる薬。飲んだ。飲んだよ?晃太くん?」


「は?は?は?ふざけ」


逃げようにも力が入らない。彼女はもう裸だ。


「私ね?赤ちゃんは一男一女って言ったけどホントは野球できるくらい欲しいの。」


「ふざけ」


「ふざけてない。本気。本気とかいてマジ。」


香織の手は晃太の服に………


「やめろ………」


「やめない。」


「やめてくれ。」


「やめない。だって決めたから。自分の部屋と晃太くんの部屋どっちともでもするって決めたから。ルールだから。」


「そんなルールな」


「ほら………ズボン脱いだら元気じゃん?体は動かなくても元気じゃん?」


「やめろ………触るな………」


「じゃあ………二回戦………いくよ?」


「マジでやめ………やめろっ!」


振り絞ったその声を最後に晃太の記憶はそこで また 途切れた。






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