第6話 生き地獄は彼女の爆弾から

「うん!似合う!ばっちり!」


「イヤ………ばっちりとかじゃないんですよ。まず。」


「あ、もうすぐ帰ってくるよ?玄関に正座で!」


「え、ちょ………」


されるがままに動かされる晃太は玄関の前に鎮座する。

で、そのまま質問を口にする。


「あの………何すか。これ?」


「え?見て分からない?娘さんをください、ステージだよ。」


「そんなステージ聞いたことないですけど…てか何なんですか?このスーツ……この服は?」


晃太の服はビシッっとスーツで何処かに面接でも行けそうな装おいだった。


「晃太くん。スーツも似合うね!」


「誉め言葉としてとっていい訳?」


「誉め言葉に決まってるじゃん!はぁ……はぁ………お母さん………この状態の晃太くんを写真におさめて!夜の一品にするから。」


「そんな理由でおさめられたくないんだが?」


「香織………別に撮るのはいいけど……もう中までどっぷり出されてるのに一人で発電する意味無くない?2人で共同作業すれば…」


「あ、確かに!あ、でも一応写真は撮っておいて!コレクションには入れるから!」


「………おい」


どこからどうツッコめばいいのか分からずおいと単純過ぎる言葉だけが出る。


「まず一緒にしませんから。」


「発電は一緒にした方が効率がいいよ?」


「効率とか気にしないので………」


「マスかくのもセックスするのも一緒が一番だよ!」


「何で………全部言うんですか?オブラートに包んでたじゃないですか?」


「めんどくさくなった。」


「………」


ダメだ。この人。この母親役にたたない。


「晃太くん!そんなことより!」


「そんなことより?」


「私の格好見てよ!全身白色!真っ白でしょ?可愛いでしょ!まるで」


「柳の下から出てきそうな」


「お化けじゃないもん!」


少し不満げに香織はぷぅっと頬を膨らませる。


「誉めてくれてもいいじゃん?別に。私女子だよ?」


「誉めるより以前に解決しないといけない問題が多すぎるんだよ。てかまず何で俺と香織は玄関に正座でいて格好がスーツと清楚な服なんですか?」


「そりゃ決まってるじゃない!

これから大五郎さんに付き合いました。ついでに突き合いました!っていうための正装だからだよ!」


「それ正装じゃなくて礼装の間違いじゃないですか?」


確実に香織のお母さんが言った文言を言ったら一発の拳が飛んでくる。


「今からそれをやります。」


「いや、やりますじゃなくて………」


「やらないと何も進まないでしょ?」


「俺は進ませたくないんですよ。」


「みーちゃんたちも頑張れって言ってたじゃん?」


「あんな迷惑な嵐のことはどうでもいいんですよ。」


ほぼ拉致してスーツチャッと買って、じゃあ!頑張れ!と一言残して帰っていった2人のバカのことはどうでもいいから。


「とりあえずプランはこう。

まず大五郎さん帰ってくる。晃太くん見る香織見る、そして服装見る……これは何かあるな、と大五郎さん勘づく。

そこで晃太くんの一言!

お義父さん!社 晃太は娘の香織さんとお付き合い、そしてセックスをしてしまいました!どうか私たちに赤ちゃんをつくらせてください!って………」


「言える訳ないでしょ!マジで!」


「うわっ、びっくりした。」


「おばさん………さっきもオブラートに包んでなかったですけど今のは流石に酷すぎますよ?」


「何がさ?ちゃんと事実を言ったまででしょ?」


「何処が事実ですか!事実無根ですけど!まず俺は香織と付き合うつもり無いですから!」


「え?私つまりセフレ?」


「お前は一旦黙っておけ!」


「セフレは酷いよ?高校生でセフレつくるのもどうかと思うよ?」


「セフレで話進めないでください!俺は前に進ませたくないんですよ。親友より先に行きたくないんですよ!」


「親友より先には何があるの?」


「親友より先には貴方達が言うには恋人があるんでしょ?」


「違うよ!そんなステージに恋人はいないよ?親友の更に一個上のステージに恋人という存在があ」


「あ~!めんどくさいから!却下!ともかく!」


正座から立ち上がり2人に向けて宣言する。


「俺は香織とは親友でいたいんですよ!だからあの事も無しにしたいんですよ!」

「あの事とは何かな?」

「へ?」


野太い低い声。振り向くとそこには………


「皆して何をしてるんだ?こんな玄関で集まって。というか香織に晃太くん、なんだい?その格好は?今から面接でも行くのかい?」


大五郎さんが………どこから聞かれてた?どこからそこにいた?頭を回せ。頭を回せ。今ぐらいしか使い道ないんだから頭を回せ。

どういい訳すれば………


「あ!お父さん!お帰り!あのねぇ!私晃太くんとセックスしちゃったの!だからこれから付き合うね!」


「え?」

「……………おい。」


ニコニコしながら自爆スイッチを押すサイコパス香織。


「おい!お前はホントにホントに!バカだ…」


ドカーン!

香織の胸ぐらを掴もうとした瞬間、何かが倒れた音がした………それは………


「大五郎………さん………」


無表情のまま倒れる大五郎さんの姿が。


「あ、大丈夫。意識はあるみたい。一種の気絶ね?」


「気絶に一種とかあるんすか?」


気絶に種類とかあるんだろうか……気絶は気絶だろ?


「晃太くん。」


「あ、は、はい?なんですか?おばさん…」


「5発」


「はい?」


「グーとかその他諸々5発は覚悟しといた方がいいかな?」


「……………」


どうしよう。今からでも逃げれるだろうか。


「逃げるのはダメ!2人でお父さんに納得してもらえるラブラブぶりを見せようね!」


っとにやつく香織が今は地獄で手招きする悪魔に見えた。

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