クリスマスパーティー その2

 クリスマスパーティーを翌日に迎えた夜のことだ。


「そう言えばコタツがあるの忘れてた」

「コタツ?」


 アリサが小首を傾げる。


「うん、ちょっと待ってて」


 俺はコタツをセットし、みかんをテーブルの上に置き、スイッチオン。


「こうやって、足を入れて暖を取るんだよ」

「こ、こうでしょうか」

 

 アリサはそっーと足を入れる。


「あったかいです!」

「うん、そしてコタツの上でまったりみかんを食べるんだ。そしたら、コタツから抜け出せなくなるんだよ。はい、みかんどーぞ」

「ふむふむ。では早速、みかんをいただきますね!」


 みかんをムキムキして、パクりと一口。


「美味しいです。そして確かにホッとしますね〜」

「でしょ?」

「あっ、そうだ!」


 何かピンと閃いたアリサはコタツから出て、俺の足の間に、チョコンと挟まる。


「えへへ、これでもっと温かいです!」

「アリサ……」


 あまりの可愛さに後ろから抱きしめてしまう。


「!」

「これでもっと温かい……かな?」

「くすくす。そうですね」

「ふふっ」





「「「「メリークリスマス!」」」」


 シンシンと雪が降る聖夜だった。いわゆるホワイトクリスマス。


 俺たちシャンメリーをグラスに注ぎ、乾杯する。


「うわぁ、美味しそうねー!」

「うむ、さすがミナトだ」


 テーブルの上には七面鳥の照り焼き、サラダ、フライドポテト等が並んでいる。


「冷めないうちに食べよう」

「そうですね! では!」


「「「「いただきます!」」」」


「この七面鳥、甘辛いソースが絶妙に絡み合って、とってもジューシーね!」

「輝く表面に、香り立つ七面鳥の香ばしい香り。ククッ、見事也」

「フライドポテトも、外はカリカリ、中はホクホクでとっても美味しいです〜!」


 みんなが美味しそうに笑みを浮かべ、料理を食べ進める姿を見て、ほっこりする。


 どうやら七面鳥の特製ソースはうまくいったようだ。





 みんなが食べ終わると、俺は冷蔵庫からケーキを取り出す。


「クリスマスケーキだ」

「「「おおお!」」」


 皆、ケーキをみて表情が輝く。


「ミナト君のケーキはとっても美味しいんですよ! 誕生日の時以来ですね!」

「フハハ、俺も過去の誕生日にケーキを作ってもらったことがあってな! しかも2回!」

「むむっ!」

「はい、そこ張り合わないの……。アタシが切り分けるわ」

「頼むよ、ユイカ」

「ククッ、サンタさんの形をした砂糖菓子のところは俺に回してくれ!」

「アンタ子供か……」


 4等分されたショートケーキをみんなで味わう。


「ん〜、やっぱりたまらないですぅ〜」

「ククッ、以前より味が増している。研鑽けんさんを怠ってはいないようだな」

「あっ、確かにこれ美味しい〜! お店で出してても違和感ないわね〜!」





「じゃあ、お待ちかねのプレゼント交換コーナーと行きましょうか!」


 ユイカが張り切って仕切っている。


 みんな、それぞれのプレゼント箱を持ち寄ってきている。


「じゃあ、くじを混ぜ混ぜ〜して〜。はい! みんな引いてー!」


 人数分の名前を書いた紙を、箱に入れて混ぜるユイカ。


「フハハ、一番手は俺だ!」


 意気揚々と箱に手を突っ込むたかし。果たして結果は──


「ミナトか。さぁ、供物くもつを俺に捧げよ!」

「はい、どうぞ」


 俺からプレゼントを貰ったたかしは、目の色を輝かせて、箱を開ける。


「薔薇の入浴剤……だと」

「そうそう。たかしには興味なかったかな?」

「いや、これで風呂で“血の池地獄”を作ることができる! 感謝するぞ! フハハハハ!」

「喜んでもらえてよかったわね……。ミナト」

「たかしらしいな……」

「次は私ですね!」


 アリサが目を閉じ、箱からとりゃあと紙を引く。


「ユイカです! プレゼントプリーズ!」

「おっ、アリサなのね。それじゃあ、はい」

「楽しみです〜!」

 

 フンフンと鼻息を鳴らして、箱を開けるアリサ。中身は──


「革製のおしゃれな手帳です〜! ありがとうございます、ユイカ! 大切に使いますね!」

「そ、そう? 喜んでもらえて良かったわ」


 そして残りも決まった。俺がたかしのプレゼントで、ユイカがアリサのプレゼントだ。


 ユイカがアリサのプレゼントを開ける。


「──にゃんにゃんわんわん物語」


 それは子供から大人まで楽しめるという触れ込みの、話題の絵本だった。


 ユイカはそれを見て、ふふっと笑う。


「アリサらしい素敵な贈り物をありがとう。丁度、これ欲しかったのよ」

「はい! 喜んでもらえてよかったです!」


 そして俺のプレゼントは──


「ククッ、アマソンギフト2000円分だ。受け取れ」

「めっちゃ無難だな!」

「お前が無難にしろ言ったんだろ! ミナト!」

「もし無難にしなかったら?」

「黒い眼帯と包帯だ」

「な、なるほど……」


 うん。無難って最高だ!





 パーティーが終わって、アリサと2人きり。


「アリサ、渡したいものがあるんだ」

「あっ、私もです!」

「え?」

「え?」


 お互い目を合わせた後に、クスクス笑う。なんだ。考えていることは2人とも同じだったのか。


 俺は隠していたアリサ用のプレゼントをアリサに渡す。そして俺もアリサからプレゼントを。


「じゃあ改めて──」

「はい」


「「メリークリスマス!」」



 

 


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