クリスマスパーティー その2
クリスマスパーティーを翌日に迎えた夜のことだ。
「そう言えばコタツがあるの忘れてた」
「コタツ?」
アリサが小首を傾げる。
「うん、ちょっと待ってて」
俺はコタツをセットし、みかんをテーブルの上に置き、スイッチオン。
「こうやって、足を入れて暖を取るんだよ」
「こ、こうでしょうか」
アリサはそっーと足を入れる。
「あったかいです!」
「うん、そしてコタツの上でまったりみかんを食べるんだ。そしたら、コタツから抜け出せなくなるんだよ。はい、みかんどーぞ」
「ふむふむ。では早速、みかんをいただきますね!」
みかんをムキムキして、パクりと一口。
「美味しいです。そして確かにホッとしますね〜」
「でしょ?」
「あっ、そうだ!」
何かピンと閃いたアリサはコタツから出て、俺の足の間に、チョコンと挟まる。
「えへへ、これでもっと温かいです!」
「アリサ……」
あまりの可愛さに後ろから抱きしめてしまう。
「!」
「これでもっと温かい……かな?」
「くすくす。そうですね」
「ふふっ」
♢
「「「「メリークリスマス!」」」」
シンシンと雪が降る聖夜だった。いわゆるホワイトクリスマス。
俺たちシャンメリーをグラスに注ぎ、乾杯する。
「うわぁ、美味しそうねー!」
「うむ、さすがミナトだ」
テーブルの上には七面鳥の照り焼き、サラダ、フライドポテト等が並んでいる。
「冷めないうちに食べよう」
「そうですね! では!」
「「「「いただきます!」」」」
「この七面鳥、甘辛いソースが絶妙に絡み合って、とってもジューシーね!」
「輝く表面に、香り立つ七面鳥の香ばしい香り。ククッ、見事也」
「フライドポテトも、外はカリカリ、中はホクホクでとっても美味しいです〜!」
みんなが美味しそうに笑みを浮かべ、料理を食べ進める姿を見て、ほっこりする。
どうやら七面鳥の特製ソースはうまくいったようだ。
♢
みんなが食べ終わると、俺は冷蔵庫からケーキを取り出す。
「クリスマスケーキだ」
「「「おおお!」」」
皆、ケーキをみて表情が輝く。
「ミナト君のケーキはとっても美味しいんですよ! 誕生日の時以来ですね!」
「フハハ、俺も過去の誕生日にケーキを作ってもらったことがあってな! しかも2回!」
「むむっ!」
「はい、そこ張り合わないの……。アタシが切り分けるわ」
「頼むよ、ユイカ」
「ククッ、サンタさんの形をした砂糖菓子のところは俺に回してくれ!」
「アンタ子供か……」
4等分されたショートケーキをみんなで味わう。
「ん〜、やっぱりたまらないですぅ〜」
「ククッ、以前より味が増している。
「あっ、確かにこれ美味しい〜! お店で出してても違和感ないわね〜!」
♢
「じゃあ、お待ちかねのプレゼント交換コーナーと行きましょうか!」
ユイカが張り切って仕切っている。
みんな、それぞれのプレゼント箱を持ち寄ってきている。
「じゃあ、くじを混ぜ混ぜ〜して〜。はい! みんな引いてー!」
人数分の名前を書いた紙を、箱に入れて混ぜるユイカ。
「フハハ、一番手は俺だ!」
意気揚々と箱に手を突っ込むたかし。果たして結果は──
「ミナトか。さぁ、
「はい、どうぞ」
俺からプレゼントを貰ったたかしは、目の色を輝かせて、箱を開ける。
「薔薇の入浴剤……だと」
「そうそう。たかしには興味なかったかな?」
「いや、これで風呂で“血の池地獄”を作ることができる! 感謝するぞ! フハハハハ!」
「喜んでもらえてよかったわね……。ミナト」
「たかしらしいな……」
「次は私ですね!」
アリサが目を閉じ、箱からとりゃあと紙を引く。
「ユイカです! プレゼントプリーズ!」
「おっ、アリサなのね。それじゃあ、はい」
「楽しみです〜!」
フンフンと鼻息を鳴らして、箱を開けるアリサ。中身は──
「革製のおしゃれな手帳です〜! ありがとうございます、ユイカ! 大切に使いますね!」
「そ、そう? 喜んでもらえて良かったわ」
そして残りも決まった。俺がたかしのプレゼントで、ユイカがアリサのプレゼントだ。
ユイカがアリサのプレゼントを開ける。
「──にゃんにゃんわんわん物語」
それは子供から大人まで楽しめるという触れ込みの、話題の絵本だった。
ユイカはそれを見て、ふふっと笑う。
「アリサらしい素敵な贈り物をありがとう。丁度、これ欲しかったのよ」
「はい! 喜んでもらえてよかったです!」
そして俺のプレゼントは──
「ククッ、アマソンギフト2000円分だ。受け取れ」
「めっちゃ無難だな!」
「お前が無難にしろ言ったんだろ! ミナト!」
「もし無難にしなかったら?」
「黒い眼帯と包帯だ」
「な、なるほど……」
うん。無難って最高だ!
♢
パーティーが終わって、アリサと2人きり。
「アリサ、渡したいものがあるんだ」
「あっ、私もです!」
「え?」
「え?」
お互い目を合わせた後に、クスクス笑う。なんだ。考えていることは2人とも同じだったのか。
俺は隠していたアリサ用のプレゼントをアリサに渡す。そして俺もアリサからプレゼントを。
「じゃあ改めて──」
「はい」
「「メリークリスマス!」」
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