修学旅行 その1
2年生の修学旅行先は“京都”。日本の歴史と文化を学ぶことができる、美しい
「京都は初めてです! 楽しみですね!」
新幹線で俺の隣に座っているアリサが、ワクワクしていた。
「ふふっ、あんまりはしゃぎすぎないの。アリサ」
ユイカが優しくアリサをたしなめる。
「クックック、京の都には古来より、
相変わらずのたかしが、不敵な笑みを浮かべる。俺を含めたこの4人が修学旅行の班になっている。
基本的に修学旅行中は、班行動が基本となる。
「歴史的な建造物、伝統的な街並み、そして京料理。想像するだけで、今から胸が弾むようです!」
アリサは閉じて、思いを
「うん、いっぱい思い出を作ろう。アリサさん」
「はい!」
「さて、そろそろ着く頃ね」
「クックック、待っていろよ。京の都よ。この俺がいま
♢
京都駅からバスで金閣寺に到着する。ここでは指定時間まで、班での自由行動となる。
丁度、紅葉を迎えた落葉樹達は、秋風に揺られ、美しくささめいている。
「綺麗です……。“
「うん、綺麗だ……」
「アリサの方が綺麗だよ、とか言わないの? ミナト?」
ユイカが小悪魔のような顔でからかってくる。むっ、素直にからかわれてたまるか。
「そんなの口に出すまでもないだろ?」
「ミ、ミナト君///」
アリサの顔も、まるで紅葉したみたいに赤くなる。
「くっ、からかうんじゃなかったわ……」
ふっ、残念だったな、ユイカ。ちなみに綺麗だと思ってるのは本心だよ。
♢
金閣寺に到着した。
「うわぁー! 本当に金色に光ってますよ! ピカピカです!」
「流石、世界遺産ね〜!」
「記念に撮影しましょう!」
「そうね!」
アリサとユイカは持ち前のスマホで、パシャパシャと撮影を始めた。
「たかしは撮影しなくていいのか?」
「ふっ、我が
「知らねーよ……。お前、絶対、小学生の時、裁縫箱のデザインにドラゴンの奴を選んだ口だろ?」
「な、なぜそれを知っている!? 貴様、エスパーか!?」
分かりやすすぎる……。
♢
次の目的地は清水寺だ。そのためにまずは清水坂を通る。
石畳でできた坂道の両側に、古式ゆかしい木造建築や茶屋が建ち並ぶ。
「スイーツ店もありますね!」
「いいわね〜。ちょっと覗いてみましょうよ!」
甘いものに目がない女子達に釣られて、スイーツ店に入る。
様々なスイーツが並ぶが、一際目を引く商品があった。
「八ツ橋シュークリームですって!」
「うわぁ、珍しいですね!」
どうやら、生地に八ツ橋を練り込んだ抹茶シュークリームのようだ。
2人はそれを購入し、美味しそうにパクつく。
「う〜ん! 八ツ橋が香る硬めの生地に、抹茶の風味が効いたクリームがたまりません!」
「こりゃあ、うまいわね!」
それを見たたかしが、ゴクリとツバを飲み込み「すまん」と言って店に、戻って行った。
どうやらたかしも食べたくなったらしい。
ふと、俺の目の前に八ツ橋シュークリームが差し出される。
「はい、ミナト君も。美味しいですよ?」
「っ!」
かなり気恥ずかしかったが、冷静に考えれば俺達は恋人なんだ。別に気にする必要はない……はず。
俺はそれをパクりと一口。ほどよい抹茶の甘味が口いっぱいに広がった。
「お、美味しい!」
「ですよね!」
にっこりと微笑むアリサに、相変わらずドキッとする。恋人になってもこれは変わらないんだろうと
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