文化祭 その1
「という訳で、今回、ウチのクラスの出し物は、“コスプレ喫茶店”に決定しました!」
クラス委員長が声を張り上げると、クラスのみんなもわーわーと歓声を上げた。
《コスプレ喫茶めっちゃ楽しみ!》
《やっぱ女子はメイド服だろ!》
《アリサちゃんのメイド服!?》
《想像しただけで鼻血が……》
《ちょっと男子ィー》
《いやー! 楽しみだな!》
♢
「という訳で、サンプルを貸してもらいました!」
アリサが俺の部屋で、大きめの紙袋を手にしている。中身は衣装のサンプルだ。
これを着て写真を撮り、その姿を見て、
その写真のモデルにアリサが
「という訳で着替えるので、少しあっち向いてて下さいね!」
「おっけー」
「のぞいたら許さないわよ」
ユイカが忠告をする。ユイカは着付けの手伝いをするようだ。
「のぞくかよ……」
ごそごそと
「む、胸がきつい……です」
「しゃーないわね。じゃあ、ここをこうして……。できたわ!」
「ミナト君、いいですよー!」
「オッケー」
振り返ると、ミニスカサンタの格好をしたアリサがいた。
か、かわええーー!!!!!
「えへへ、メリークリスマス! です」
「似合ってるわね、アリサ!」
「み、ミナト君……どうですか?」
少し恥じらいながら、上目遣いで見つめるアリサを見て、俺の理性が蒸発した。
「いやー、あれだね。アリサさん自体がクリスマスプレゼントみたいなもんだよね。うん、メリクリ」
「何言ってんのよ……アンタ……」
次のコスプレはミニスカポリスだった。
「た、逮捕しちゃうぞ! です……」
心臓を撃ち抜くポーズを恥じらいながらするアリサ。
「逆にこっちが逮捕したいよね」
「いますぐアンタを通報してやろうかしら……」
3度目のコスプレは、ピンクナースだった。
「お、お注射しちゃいますよ?」
「胸がドキドキして苦しい……」
「ドクター、早くきてー。動悸の患者でーす」
♢
「まぁ、無難にメイド服がいいんじゃないかしら?」
「私も可愛いと思いますよ。あれ?」
ごそごそと紙袋から何かを取り出す、アリサ。それは執事服のサンプルだった。
「男性用のが混ざってたんですねー」
「あら? いい機会じゃない。ミナト、アンタきてみなさいよ」
「えー……」
「私もミナト君の執事服姿、見てみたいです!」
「2人ともそういうならまぁ……」
俺は自室でごそごそと着替えて、2人の前に姿を現す。
「いらっしゃいませ、お嬢様」
こ、こんな感じかな?
「…………」
「…………」
反応がない。うっ、やっぱり似合ってなかったんじゃないか?
「かっこいいですー!」
「わ、悪くないわね……」
2人ともまんざらでもない反応だった。
「お褒めに預かり
俺はそれっぽく礼をする。
「こ、紅茶を頂けるかしら?」
「あっ……それっぽいですね、ユイカ! お、お願いできますか?」
「少々お待ち下さいませ」
俺も興が乗ったので、そのまま付き合ってみることにする。紅茶を淹れ、おもむろに2人に提供した。
「あっ、香りも豊かですよコレ!」
「アタシ好みの甘さに調整してあるわねー!」
2人は美味しそうに、クピクピと紅茶を飲み干す。
「とっても美味しかったです。ミナト君!」
「ありがとうございます。アリサお嬢様」
「お、お嬢様……///。いいですね……」
アリサはお嬢様呼びにうっとりとしている。
「ア、アタシも美味しかったわよ。ミナト」
「そりゃよかった」
「アタシもお嬢様って呼びなさいよ!?」
「か、かしこまりました……。ユイカお嬢様……」
「くぅー、いいわねぇ! 今度からずっと、その呼び方にしなさいよ!」
「わがままなお嬢様だな……」
「あら? お嬢様ってのはワガママなもんなのよ?」
「ぐっ……」
「おーほっほっほ!」
ユイカに一本とられたな。なんかまじでお嬢様っぽくなってるし。
「おーほっほっほげ? げほっ! げほ! へ、変な笑い方したらむせたわ……」
♢
ソファで2人きりの時。
「ねぇ、ミナト君?」
「なに? アリサさん」
「ま、また“アリサお嬢様”って呼んでくれませんか?」
「ご
「は、はい……!(たまらないですぅ///)」
────アリサはときおり執事をおねだりするようになりましたとさ。
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