体育祭 その3
その後も綱引き、騎馬戦、100m走など、数々の種目で、赤組と白組は競い合った。
中でも選抜リレーでは、アリサが陸上部が混ざっている中でも、快速を飛ばし、チームを勝利に導いた。結果──
『優勝は赤組です!』
見事、赤組は勝利し、俺たちはクラスで喜びを分かち合った。
♢
「疲れました……」
「疲れたわ……」
体育祭が終わった後、2人ともシャワーを浴びたのちにウチに来て、ぐったりとしていた。
2人とも体育祭で、
「よかったら飲んでくれ」
俺は家の野菜とフルーツを使った、スムージーを提供する。
「ありがとうございます!」
「おっ、気がきくわね! ありがと!」
2人はごくごくとスムージーを飲み干す。
「ぷはー! 美味しいです!」
「冷えてて、たまらないわ!」
「疲労回復に効果のある“クエン酸”を含んだ、グレープフルーツとレモン搾りを入れてあるんだよ」
「なるほど、ほどよい酸味の正体はそれでしたか!」
「あー確かに、疲れ取れたわー!」
ユイカは肩を軽快に回す。
「そんなにすぐには効かねーよ……」
♢
「料理、出来たよー。“ささみときゅうりの梅あえ”と“おかかおにぎり”」
「「おー!」」
2人は目をキラキラと輝かせて、食事を待ち侘びている。
「「「いただきます!」」」
アリサがパクりと一口。
「ん〜! ささみときゅうりに梅の味がさっぱりとマッチしています!」
「運動後なのに、おかげでおかかおにぎりが進む、進む! 止まらないわ!」
「運動後のタンパク質補給も意識して、料理してみたんだ。たくさん、食べてくれよな」
「はい!」
「任せなさい!」
2人は夢中で、食事を食べ進める。運動後を意識した食事は、うまくいったようだ。
♢
「皿洗いはアタシがやっとくわ。アリサはミナトのマッサージでもしてあげなさい。体育祭の後で料理もしてくれて、疲れているはずよ」
「はい!」
という訳で、俺は今、アリサから肩のマッサージを受けている。電気マッサージ器で、肩を全体的にほぐした後、手で指圧されている状態だ。
「んしょ! んしょ! どうですか?」
「うん、とっても効いてる〜」
確かに今日は疲れていたので、正直ありがたかった。しばらく揉んでもらった後に、「交代しよう」と持ちかけた。
「え? 悪いですよ」
「いいから、いいから」
俺はアリサの肩をほぐしに入る。
「固っ!」
岩のようにガッチガチに固まっていた。
「アリサは胸が大きいから、肩が凝るのよ」
皿洗いを終えた、ユイカがこちらにきた。
「うっ……。はい、年々大きくなるにつれて、酷くなってる気がします……」
「そ、そっか。それは大変だね」
「アタシは全く、肩が凝らないけどね……」
どんよりとユイカは沈み込む。小柄な体格なユイカは胸も……その……スマートなのだ。
「ユイカがうらやましいです……」
「なんでよ!」
「だって、胸が大きいと肩凝るし、可愛い下着も見つけにくいんですよ……」
「くぅー! 一回でいいから言ってみたいわね!」
お互い、ないものねだりということだろうか。ところで男子がいる中で、胸の話はやめていただきたい。
「うう……アタシはこのまま成長しないのかしら……。結構、コンプレックスなのよね……小柄だし……」
本格的に落ち込み出したので、フォローを入れる。
「べ、別に胸だけが女の子の魅力じゃないだろ? ユイカは小柄でも、その分可愛らしさがあると思うぞ?」
「そ、そうかしら?」
「ああ、学園だって男子の人気めちゃくちゃあるのに、気にする必要ないだろ」
「あ、ありがと、ミナト。なんか元気出たわ」
ユイカの表情が明るくなる。──が
「ミナト君は小柄な女の子の方が好きなんですか?」
反対にアリサの顔がプクーとむくれていた。げっ!
「べ、別にそういう訳じゃ……」
「なによ、やっぱり胸大きい方がいいんじゃない! ミナト!」
「ええ!?」
板挟みになり、非常に厳しい状況となる。
「ミナト君は胸大きく方がいい派ですよね!?」
「え!?」
アリサがずいっと身を乗り出してくる。
「ミナトは小柄で控えめの胸がドストライクなんでしょ!?」
「ええ!?」
2人に迫られ俺は、プチパニックになり、ポロリと本音がこぼれる。
「お、俺は“尻“派だから……!」
あっ、言っちゃった……。場が、シンと一瞬静まる。
「ミナト君のえっち……」
「ど、どうしようもないほどのケダモノね!」
2人の顔が赤くなる。やばい、フォローしとかないと、俺が終わる。
「む、胸の大きさじゃなくて、大事なのは中身だろ? そんなに、2人とも気にすることないよ」
「そ、そうですよね!」
「ま、まぁ、いい事いうじゃない!」
無難なフォローがなんとか効いたようだ。よかった……。
巨乳も貧乳もそれぞれに良さがあると思いました。まる。
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