たこ焼きパーティーをしよう
俺はたこ焼きプレートで、アツアツのたこ焼きをつまようじでくるりと回す。
すると、香ばしいたこ焼きの匂いが辺り一面にジュワッと広がった。
「うわぁー、いい匂いですねー!」
「お兄ちゃん、早く早く!」
アリサと妹のコハルは待ちきれないのか、ソワソワとしている。
俺は皿に焼き上がったたこ焼きをのせ、ソースとマヨネーズかけ、最後に青のりとかつお節をまぶしていく。
「これで完成!」
「「おおー!」」
「熱いから2人とも気をつけてね」
3人で手を合わせて、たこ焼きを頂く。
「ふーふー! はふはふ! ふんわりとした生地とタコが口の中でとろけますぅ……」
「たこ焼きソースとマヨネーズが絡み合い、青のりとかつお節と共に極上のハーモニーを奏でているね……。さすが、お兄ちゃん。腕は落ちてないと見た!」
2人共、はふはふと夢中でたこ焼きを食べている。俺もひとくち。うん、悪くない。
「じゃんじゃん、焼くからじゃんじゃん食べてくれよー!」
「「はーい!」」
3人でたこ焼きを思う存分に味わったのだった。
♢
食べ終わったところで、コハルが話を切り出した。
「改めまして、アタシはミナトお兄ちゃんの妹、如月コハル、中学2年生です。よろしくね、アリサさん!」
コハルは人懐っこい笑みを浮かべて、アリサに挨拶をする。
「はい、こちらこそよろしくお願いします。私は早乙女アリサ。海外から転校してきました。ミナト君にはなにかとお世話になっています」
アリサは丁寧にコハルにお辞儀をする。
「ふむふむ」
コハルはアリサをジロジロと見回して
「いやー、お兄ちゃんも
ひじを軽く俺に当てながら、コハルはとんでもないことを言ってきた。
「か、彼女じゃないって!」
「ち、違いますよ!」
2人で顔を真っ赤にして反論する。
「ほへ? 2人で一緒にご飯を毎日、食べる仲ってお兄ちゃんに聞いたけど?」
コハルは、はてなと小首を傾げる。
「いえ、私が料理が下手なので、ミナト君にお世話になっているんです! 決して、彼女とかそういう訳では……」
「そ、そうだよ、コハル。アリサさんに失礼だぞ?」
「いえ、失礼ではないのですけれども……」
「え? あ、そう? あ、ありがとう」
俺とアリサは2人で顔を見つめて、照れ合う。
「……うん、アタシが間違ってたよ。お兄ちゃん」
「わ、分かってくれたか」
「そ、そういうことですよ」
2人でほっと胸を撫で下ろしたところで──
「2人はもう夫婦だったんだね!」
そんな爆弾発言をするコハル。
「違ーう!」
「ち、違います!」
コハルはうーんとアゴに人差し指を当てる。
「それならアリサお姉ちゃんって、呼んだ方がいいかなー? そうなるのは時間の問題だろーしねー?」
「ア、アリサお姉ちゃんですか!? アリサお姉ちゃん……アリサお姉ちゃん……」
アリサはその言葉を反復し、
「いい響きですね……。私、一人っ子なので、可愛い妹とか欲しかったんですよ!」
と嬉しそうに言った。
「わーい! アリサお姉ちゃーん!」
「はい、お姉ちゃんです!」
2人は抱きつき、じゃれあっている。うん、なんだか打ち解けたようでよかった……のかな?
♢
「お泊まり会をしまーす!」
急にコハルがそんなことを言い出した。
「まぁ今日、コハルが泊まるならリビングに布団を敷いてあげるよ」
「チッチッチ」
コハルは人差し指を横に振る。
「今日は〜アリサお姉ちゃんも一緒にお泊まりするよー! ねー、アリサお姉ちゃん?」
「え!?」
き、聞いてないんだけど!?
「コハルちゃん、やっぱり迷惑ですよ……」
アリサは頬を赤らめてモジモジしている。
「大丈夫だって。お兄ちゃんは押しに弱いからねー。アリサお姉ちゃんは覚えておいた方がいいかもよ?」
「そ、そうなんですか? では……」
アリサはスマホになにやらメモをしている。
「お泊まりかぁ……。うーん」
付き合ってもいない女の子を家に泊めてもいいものかどうか……。
「今日、コハルちゃんとお泊まりしても……いいですか?」
「お願い……お兄ちゃん!」
2人とも上目遣いで、ジッーとこちらを見つめてくる。
「うーむ……」
「お兄ちゃんが昔、ホゲモンのバグ技で伝説ホゲモン捕まえてやるって言って、アタシのデータぶっ壊したの許してあげるから!」
「うっ……!」
だってネットのワザッフに書いてあったんだもん……。
「俺は寝室で寝るから、2人はリビングで寝るという条件ならいい……かな」
「「やったー!」」
アリサとコハルは2人で嬉しそうにハイタッチしていた。
まぁ、これなら変なことも起きないだろ……。たぶん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます