アリサの誕生日を祝おう その3
楽しかったデートはあっという間に終わりを告げ、そして俺は夕食の準備をする。
「よし、今日は腕によりをかけて作るぞ!」
♢
「うわぁ、豪勢ですねぇ!」
アリサの目の前には揚げたての天ぷらがたくさん。エビ、かぼちゃ、玉ねぎ、ナス、シイタケがラインナップとなっている。
「これはそのまま、いただくのですか?」
「塩でも、天つゆでも、そのままでも。お好きにどうぞ」
アリサはエビ天に塩をかけて、一口。
「香ばしいサクサクの衣に、ぷりぷりのエビの甘さが口の中いっぱいに広がりますぅ。ううん、幸せ……」
「またまだあるよ。どんどん食べてね」
アリサは嬉しそうにひょいひょいと野菜を口に運ぶ。
「野菜でヘルシーなのに、こんなにジューシーだなんて……。あぁ、日本食は素晴らしいです……」
野菜は油を吸って、結構なハイカロリーになっていることは、黙っておいた方がいいのかな……。うーん……。
というか前から思ってたけど、アリサさんって結構、大食いだよな。よくアレで太らないものだ。
チラッと彼女の豊満な胸に目がいく。もしかして、胸に栄養がいってんのかな?
「なんでふか? ミナトくん?」
「い、いや、なんでも! うん、野菜美味しいな! うんうん!」
「?」
♢
2人で天ぷらを平らげた後、俺は冷蔵庫からあるモノは取り出す。
「もしかしてケーキ……ですか?」
「あぁ、手作りショートケーキ。ちょっと頑張って作ってみたんだ」
「私のために?」
「うん、17歳の誕生日おめでとう。アリサさん」
「!」
そう俺が言った瞬間、アリサはポロポロと涙を流す。
「あ、アリサさん!?」
俺はオロオロとうろたえる。
「いえ、こんなに盛大に祝ってもらったこと、久しぶりだったので……。つい……。グスッ、本当にありがとうございます、ミナト君」
「こんなに喜んでもらえて、俺も嬉しいよ。アリサさん、ロウソクに火をつけるね!」
「はい!」
丸いショートケーキにロウソクを17本立て、着火する。ゆらゆらとゆれる
「とっても甘くて、とっても美味しいですね、ミナト君!」
「うん、それならよかった!」
アリサは幸せそうにケーキを食べている。
「ミナト君と一緒に、食事をとるようなってから、毎日が幸せです!」
「俺もアリサさんと、一緒にいると楽しいよ」
俺の心からの本心を告げる。あぁ、まるで夢のような日々だ。突然、覚めてしまい、何もかも嘘だったのではないかと不安になるほどに。
「もう私、ミナト君がいないと生きていけないかもしれませんね?」
アリサがポツリとこぼす。
「──え?」
俺の思考がフリーズしてしまう。
「冗談……だよね?」
「さて、どうでしょうか?」
クスクスと笑うアリサ。からかわれたのかな? よし、なら俺も冗談で返してみようかな。
「うん、責任は取るよ、アリサさん」
「ふぇ!?」
俺が真剣な顔でそう言った途端に、真っ赤な顔に染まるアリサ。
「君が俺なしで生きていけないなら、俺は君をずっと側で支える見せるから……」
「ふぇええええええ!?」
アリサの頭からボシューと湯気が出た気がした。
「なーんてね!」
「び、びっくりさせないで下さいよ、もう!」
「はは、お互い様だろ?」
「クスクス、そうですね。今度のミナト君の誕生日もこれくらい、盛り上げられたらいいなぁ」
かくしてアリサの誕生日会は終わりを告げる。一年で一度の祝いの日。そんな大切な日を彼女と共に過ごせたことが、とても嬉しかった。
願わくば来年も、彼女の誕生日を共に祝えますように。
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