アリサの誕生日を祝おう その2
アリサの誕生日当日、俺達は共に朝食をとる。
「今日は楽しみですね、ミナト君!」
「うん、今日はどこに遊びに行こうか?」
「この前、オープンしたクレーンゲーム専門店なんてどうでしょうか? 動画で見ましたが、いろんな景品があって、楽しそうでしたよ」
「それは楽しそうだね。そこから行ってみようか?」
「はい!」
今朝のアリサは、淡いスカートとブラウスを着ている。髪型のちょっとした変化やアクセサリーなども相まって、いつもより大人びて見えた。
「ミナト君?」
「はっ……!」
いかん、アリサに
「ふふっ、どうしたんですか?」
「今日のアリサさん服装、気合い入ってるね」
「あっ、バレちゃいました? えへへ、今朝、早起きして、あーでもない、こーでもないとコーディネート頑張ったんですよ? ど、どうでしょうか?」
「うん、とっても似合ってる」
心からの本心だった。
「あ、ありがとうございます……」
「う、うん……」
2人して頬を赤く染めて、照れてしまう。なんだこれ電話。なんだか付き合いたてのカップルみたいだな……。
「よ、よし、そろそろ出発しようか?」
「は、はい」
♢
「うわぁー! すごい数のクレーンゲームと人ですね!」
「おぉ……これは」
店中に広がるクレーンゲームコーナーに圧倒される。店内はオープン開始、間もないということもあって、お客さんでごった返していた。
「ミナト君、あれ見てください! 可愛いワンちゃんのぬいぐるみですよ!」
俺はアリサに手を引っ張られ、巨大な犬のぬいぐるみが景品のクレーンゲームへと連れてこられた。
「犬、でっか!」
「早速、プレイしましょう!」
アリサはうきうきで100円玉を機械に投入し、アームを動かす。そのアームは、見事に犬の首を
「あー! 全然持ち上げられません!」
アームのチカラが弱いのか、少し浮いた直後に、ぬいぐるみはその場に落ちる。
「なるほどね……」
「もう一回やります!」
その後、何回か挑戦したアリサだったが、結局その場から少しも動かせず、諦めてしまった。
「うぅ……。ワンちゃん欲しかったですぅ……」
アリサはよほど欲しかったのか、かなり落ち込んでいるようだ。
「なら次は、俺がプレイしようかな」
「私の仇をとって下さいね……」
俺は100円玉を投入し、首を狙ってアームを降下させる。
「あっ、ミスったな……」
首より少し手前にアームを降下させてしまっが──
「ん?」
「おおっ!」
なんと上手い具合に、犬の丸まったシッポの間にアームの片方が挟まり、見事にGETした。
「よっしゃ!」
「すごいです、ミナトさん!」
そして俺はそれをアリサに渡す。
「え?」
「今日の誕生日プレゼント」
「いいんですか?」
「うん、よかったら可愛がってあげてね」
「ありがとうございます!」
アリサは巨大な犬のぬいぐるみを大切そうに、胸の前でぎゅっと抱えている。
「えへへ、すごく可愛いプレゼントをもらっちゃいました! 今日から一緒にベッドで寝ますね!」
本当に嬉しそうな笑顔をするもんだから、こっちまでつられて笑顔になってしまう。
♢
アリサが一度、行ってみたかったそうなので、お昼は回転寿司を選んだ。
「おぉ、本当にお寿司が回っていますね……」
興味津々に流れるお寿司を眺めるアリサ。マグロ、サーモン、イカ、タコ、貝、どれも新鮮で美味しそうだ。
「欲しい皿があったら、取ってね。タッチパネルでも注文できるよ」
「ふむふむ。いやー、いろんなお寿司に目移りして、選びきれないですね!」
アリサはまず、恐る恐るマグロの皿を取った。そして、醤油を少し垂らして、箸でパクッと一口。
「おいしいですぅ!」
アリサは頬に手を当てて、目を閉じ、もぐもぐとマグロの寿司を味わっている。
「ふぅ……、鮮度抜群で、脂の乗りもよし。口に入れた瞬間に、上品な甘さが口いっぱいに広がりますね……。これが一皿100円とは恐るべしJapan……」
「そうだね〜これで一皿100円はすごいよね〜」
その後もアリサは、もぐもぐとお寿司を平らげ、皿の山を築き上げるのだった。
「あ、あと一皿で、ガチャが回せます……。け、けぷ」
「アリサさん、無理しないでね!?」
10皿で一回ガチャが回せるので、頑張るアリサさんなのでした。
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