アリサ視点
《アリサ視点》
「むにゃ?」
私はようやく目を覚ます。身体が軽い。額に手を当てる。どうやら熱も下がったみたいだ。
同時に昨日の夜のことも思い出す。
「熱に浮かされてたとは言え、
私の顔がカァーと赤くなる。
「と、とりあえず、昨日交換した連絡先に連絡しましょう」
私はスマホで
「もしもし、如月君ですか?」
『早乙女さん、丁度よかった。サンドイッチできたから、今から持って行くね』
「……え?」
そういえば昨日、寝る前に朝食を作るとかなんとか言ってた……ような?
♢
「おはよう、早乙女さん」
如月君が卵サンドイッチを持ってきてくれた。
──きゅるるるる
「あっ……」
それを見た私のお腹の虫が鳴き出した。恥ずかしくて、私の頬がカァ赤くなるのを感じる。
「ふふっ、お腹空いてるみたいだね」
「と、とりあえず、昨日のお礼がしたいので、中に上がってもらえませんか?」
「う、うん、分かった!」
如月君は心なしか緊張しているように見えた。
♢
「出来立てだから、すぐに食べてくれると嬉しいな」
「はい、いただきます!」
テーブルの椅子に座り、まずは卵サンドを一口。ふわふわの食感と、程よい甘さが口いっぱいに広がる。
「とっても美味しいです!」
私の顔が自然とほころぶ。
「よかった。その調子だと風邪は治ったみたいだね」
「は、はい、如月君のおかげです」
「ところで早乙女さん──」
急に真剣な目でミナト君が私を見つめている。その熱い眼差しに、私の胸が再びキュン。
「な、なん……でしょうか?」
「俺にこの部屋の掃除をさせてくれないかな?」
「──え?」
「俺さ、こういうゴミだらけの部屋を見たらウズウズするんだよね! 綺麗にしたくて、たまらなくなるんだよ!」
「でも、如月君に悪いですよ……」
「また昨日みたいに風邪引いたら困るだろ? 親も友達も呼べないし」
「ぐぅ……」
ぐぅの音もでない。
「安心して下さい。私が本気を出せばこのくらいは余裕なのです!」
私は掃除のために、腕まくりを始める。
「うーん、不安だなぁ……」
如月君は心配そうにつぶやいた。ふっふっふ、見てろよー!
♢
──ドンガラガッシャーン! パリンパリンパリーン!
おかしい。掃除をすればするほど汚くなる。
「あっ、ああ…………」
チラッと見れば、
「バ、バトンタッチしてもいいかな? と言うよりさせて下さいお願いします」
「……はい」
そこからの如月君はすごかった。
「す、すごいですね……」
♢
「ふぅ、こんなもんだな」
部屋中をピカピカにした
「ありがとうございました! 如月君は本当に頼りになりますね!」
「ははっ、そうおだてないでよ。……っとそろそろお昼か。早乙女さんはお昼はどうするの?」
「はい、また外食でも頼もうかと」
「外食するのもいいけど、栄養バランスには気をつけてね?」
如月君は心配そうに私を見つめている。
「はい。自分でも料理はしてみるんですが、これが壊滅的でして……。どうしても外食に頼ってしまうんですよね」
すると如月君はうーんと
「心配だね……。よかったら、俺が作るよ?」
と意外な提案してきた。
「……え?」
「自分の分の材料費さえ出してくれるなら、1人前も2人前も大して手間は変わらないからね」
「い、いいんですか?」
「う、うん、早乙女さんさえ良ければだけど……」
「はい、ぜひお願いします!」
私は目キラキラと輝かせて喜ぶ。
「そっか! それならご飯が出来たら連絡するよ。あっ、そうだ。なんかリクエストとかある?」
「日本料理で有名な“お好み焼き”が食べてみたいです!」
「関西風? 広島風?」
「カンサイフウ? ヒロシマフウ?」
私は小首を傾げる。お好み焼きに種類があるなんて知らなかった。
「よく分からないので、おすすめでお願いします!」
「そっか、海外育ちだもんな。じゃあ、こっちに任せてよ」
「はい、任せます。せ、せっかくなので、如月君の部屋で、一緒に食べてもいいですか? あ、熱々を食べたいので……」
私は思い切って、そう言ってみる。
「へ? ま、まぁ早乙女さんがいいなら……」
如月君の頬が少し赤くなっている。
「フフッ、楽しみにしてますね?」
「う、うん」
もっと如月君のことを知りたい。いつしか、私はそう思うようになっていた。
如月君と話していると、なんだか頬が熱い。おかしいな、熱は下がったはずなんだけどな。
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