第2話 温心湖の伝説
帰りの車の中で
だから僕も無言のまま、彼女を家まで送った。すごく気まずくて、
「
「えっ?」
こんな生活が一生続くのかと思うと、僕は
でも人は、折り合いをつけて生きていく。僕も例外ではない。
「また連絡するよ。疲れただろ? 今日はゆっくりやすんで」
僕は何か言いたげな
「ちょっと、
「じゃ」
◇ ◇ ◇
僕は部屋に戻り、コーラ片手にパソコンの電源を入れた。どうしても気になったからだ。あの湖のこと、そして
「あった。『
それは誰かのブログだった。僕は真剣に記事を読む。記事にはこう書かれていた。
『
みなさんは知っているだろうか? 「
実はこの伝説には悲しい話が続く。
時は江戸時代中期に遡る。
一人の少女がこの湖で青年と出逢い恋をした。この時代、女性から想いを告げることははしたないと言われていた時代。少女は気持ちを抑え、ただ青年に会えるこの
でも幸せな時間は長く続かない。
少女は身売りされることが決まり別れの時が近づく。青年もこの時になり、少女の存在の大きさに気づくも時既に遅く、二人は別れの時を向かえた。
必ず迎えに行くと約束をした青年の言葉を信じ、少女は遊郭で耐え忍ぶ生活を送る。好きでもない男に抱かれ、ひたすら青年の事を想う日々。青年が迎えに来ることをひたすら待ち望んで。
でも青年が迎えに来ることはなかった。』
「なんだよ、これ」
さらに続く話を僕は前屈みで読み続ける。
だんだんと、この少女が
そしてこの青年は僕だと。なぜか分からないけど、この約束すら果たせない情けない男と、
会いに来るなんて、軽率に言うべき言葉じゃなかったんじゃないかとさえ思わされる。
最後はこう綴られていた。
『少女は大人になり、失望の中無惨な死を遂げる。彼女の魂はいつからか、この
その少女の名は
「
僕はなぜか胸が締め付けられる想いがした。まさか幽霊だったのか? そんなはずはない。僕は彼女にからかわれたのか?
でも
僕はあわてて、あの白い建物調べた。別荘のような病院のような…。
僕はストリートビューで調べてみる。建物は病院ではなさそうだけど、何かの研究室か何か。別荘という優雅なものでもないらしい。
「
僕はあわてて画像を拡大する。そこに黒い服を着た男性に手を引かれている白いワンピースを着た少女が写っていた。
顔はわからない。
僕は
リモートワークに必要な準備をし、僕は車のキーをつかんだ。
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