神界特別企画! 異世界に飛ばしてみた!~テレビの企画みたいなノリで異世界転移させられたかと思ったら急にバラエティ企画が始まったんだが……~
第2話 神々の声援を受け、始まるイベントがここにある! ……って、ちょっと声援に変なの混じってない!?
第2話 神々の声援を受け、始まるイベントがここにある! ……って、ちょっと声援に変なの混じってない!?
よし、時間だわ。
円形のステージに立ち、私――ブリュンヒルデはにっこりと笑う。
「終末はここから! 『千年に一度の天罰! ダーツでダークな世の中を』。本日、千年ぶりに始まりました」
ステージを囲む階段席。そこには古今東西の神々が居並んでいた。ローブを纏ったものや古代ローマ風のチュニックを着たもの、他にも和服にカラフルな民族衣装。そのとてもグローバルな光景に、私は頭を下げた。
「皆さんこんにちは。
その動きに合わせて正面にあるスクリーンに映った銀髪の戦乙女も頭を下げる。
映像の中の私は、腰までの長い銀髪に赤い瞳、優しそうな顔立ち。服装は白いブレザーにタイトスカートで黒いラインや金色の装飾がある軍服っぽいものだけど、これは位の高い戦乙女の制服だ。
どこを取っても美人と形容される姿。さらに胸も大きく、引き締まった肉体なのに女性としての肉付きがしっかりついている。だからでしょうか、スクリーン横のコメント欄が目まぐるしく動いていた。
『司会がヒルデちゃんってマジ?』
『うぉぉぉぉ! 天使じゃ、天使が降り立ったぞぉぉぉぉぉぉ!』
『かわいいー! SSR美女じゃん、最高レア出たぞ!』
『あの太ももに挟まれて死にてぇ……いやむしろ殺して! 神殺しの称号あげるから!』
『執行部の有名人が出て来るなんて、やっぱ千年に一度のイベントだけあるわ』
『いや、死ぬならあのデカパイの谷間で窒息死だろォ!
ご覧の通り、自他ともに認める眉目秀麗な戦乙女だった。ちょっと変なコメントも混じってたけど、会場も私が手を振ると「ヒルデちゃーん!」と愛称で呼んでくれるくらいには盛り上がっていた。
「現在の講堂の様子ですが、皆さん熱気に包まれています。荒ぶる神々が多く見られますね。もう待ちきれないという気持ちがひしひしと伝わってくるようです」
「今年こそ
「そうじゃそうじゃ! こっちは退屈すぎて死にそうなんじゃぞ!」
階段席から人類の滅びを望む声が次々と上がった。
終末戦争は、恐ろしい化け物が世に放たれ、世界は凍りつき、それによって神々を含めた全種族で戦争をするもので、死の恐怖を忘れた神々にとって陶酔するほどの刺激となる。
こういうイベントの時はいつもこうだけど、つくづく短絡的な発言だわ。終末戦争で盛り上がるのは少しの間だけよ。その戦争のせいで人類が滅んだほうが神々には退屈なのに……このイベントだって人間のバラエティ番組を参考にしてるくらいだから……ホント、退屈にしてる老人ほど害になるものはないわ。
そんな不満をぐっと抑え、私は笑顔を振りまく。
「何千、何万年も生きてきた神々の皆さんも、退屈には抗えないようですね。数日前からこのイベントの話題で持ち切りだったようですが、天罰が決定するのはいつだって突然のこと!」
ステージ端を手振りで示す。
「それではさっそく、ダーツを投げる偉大な主神様をご紹介します」
私の視線の先には、こっちに歩み寄ってきている老人の姿があった。
グレーの短髪に髭面、そして雄々しい顔立ちにガタイのいい体格が合わさってどこか武道家を思わせる風貌。ただ服装は、袖口に幾何学模様の刺繍の入った白いチュニックに肩から垂らしたドレープという古代ギリシャスタイルなのは古い時代を感じさせられる。
私は明るい声音で告げる。
「ゼウス様の登場です!」
階段席から歓声が起こった。
野太い声で「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」とか「これは期待できるぞォ!」とか騒ぐ神々。その歓声に私は、ヤバいわ、と思う。
ゼウス様といえば、
だけど私には作戦があるわ。
ステージ端の円形の電子パネル。その紅白カラーに色分けされたパネルを私は指差した。
「これから行う天罰ルーレットについて説明します。このルーレットはその名の通り天罰を与えるもの。パネルにはそれぞれ、地震、津波、火山噴火、竜巻など自然災害に加え、戦争や紛争なども盛り込まれています」
真剣な面持ちになった神々を流し見ながら説明を続ける。
「通常、十年周期の災害や百年周期の大災害はこのルーレットによって決められますが、中でも今回行われる千年周期の終末災害。その目玉はなんといっても
(次回に続く)
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