第80話 ソラと黒銀(1年前)③
※たまに更新なので、お忘れているかもなので補足です。
題名にもありますが、ただ今、本編の1年前のサクラとソラが1年生の時に経験したものです(^_^;)
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【サクラが1年の時の軍との合同練習の日】
「待ってください! 1年生2人を組ませるのはどうかと思います!」
この時のウエストの
「そうだぜ。まだ日が浅い1年2人を組ませるのはおかしいぜ!」
コウメイも抗議する。だが軍のリーダーの者はまったく聞き入れない。
「そんなもん関係ない。お前達十家門だろ? 妖力が普通の者よりあるんだ。ならばこんな雑魚の猛獣相手なんて朝飯前だろう」
蔑ますような言い方に、わざとだと分かった。エリカは怒りをぐっと我慢して訴える。
「十家門だろうと、私達はまだ学生で勉強中の身です。特に1年生は初めての外での実践です。軍の方なら分かりますよね? どれだけ1年生が無力か!」
エリカは軍のリーダーへ言うが、リーダーは鼻で笑う。
「なんだ? 俺らに説教でもするのか? 十家門だからって威張るんじゃねえよ」
「威張ってないです! おかしいと言っているだけです!」
「おかしい? 何が? いつもお前ら十家門は威張ってたじゃねえか。誰に口をきいてるってなー。あれだけ威張るってことは、それだけ戦闘にも自信があるってことだろ? なら問題ないだろう」
「それは一部の十家門のことだろ」
コウメイは怒りを抑えながら言い、エリカもキッと睨み言う。
「ただの嫌がらせだわ」
すると軍のリーダーは開き治ったように声を大にして言う。
「ああ、そうだ! 嫌がらせだ! この日をどれだけ待ち望んでいたか。さんざん学校の時はいたぶってくれたからなー。今日は今まで俺らがさらた分を返させてもらう」
「お前らー!」
コウメイが食ってかかりそうになるのを、ソラが後ろからコウメイの脇に手を入れ止める。
「先輩、駄目です」
「ソラ」
「俺は大丈夫ですから」
ソラは笑顔でコウメイを見る。
「まったく問題ないので」
「でも九條は強くねえんだぞ」
「その分俺がホローすればいいことだから」
ソラの余裕の表情から、コウメイは気持ちを落ち着かせるために深呼吸する。
「お前がいいって言うならいいけどよー」
「はい」
ソラもコウメイの拘束を緩めて離れる。そして1人不安そうにしているサクラの隣りへ行き頭に手を置く。
「サクラは心配しなくていいよ。俺がホローするから」
するとサクラはソラを見あげる。
「ありがとう。ごめんね」
本心からの返事と謝罪。言葉と心と何1つ変わらないソラへの言葉が心地良い。
「うん」
その後二手に分かれ、猛獣がいるエリアへと入って行く。そしてある所に来ると、先ほどの軍のリーダーがソラとサクラへと言う。
「お前達はここからあっちの奥にいる妖獣を倒してこい」
「私達2人でですか?」
サクラが質問すると、軍のリーダーは素っ気なく首を縦にふる。
「ああ」
「それは違反では? 必ず生徒と一緒に軍の者は行動って最初に説明ありましたよね?」
サクラが反論する。
「基本はな。大丈夫だ。そっちには弱い妖獣しかいない」
「でも!」
「うるさい。お前達は俺達の言うことを聞いてればいいんだよ! さっさと行け!」
どうしても納得がいかないサクラは反論しようとするが、それをソラが止める。
「サクラ、もうやめな。話の通じないバカに言っても無駄だ」
「誰がバカだと! 誰にもの言ってやがる!」
するとソラは今まで見せていた笑顔を消し、殺気と妖気を一瞬爆発させ、殺意ある目を軍の者達に向ける。すると今まで
――クズが。
ソラは鼻を鳴らし背を向ける。
「俺達はあっちですね。あんた達はそっちの弱い奴らと遊んでいてください」
冷めた声音で言い捨てると、サクラの肩を抱き言われた場所へと歩き出す。サクラは初めて見る怒ったソラへと視線を向ける。
――ソラ、珍しく怒ってるな。ソラも怒るんだー。
そんなことを考えながら見てるサクラの気持ちは丸わかりのため、ソラは怒りが吹っ飛び笑う。
――この状況で、その考えなんだ。
「サクラってかわいいね」
「!」
今の流れからどうしたらそうなるのかまったく分からないサクラは顔を赤くして照れている。
「ど、ど、どうなったらその言葉が出るのよ!」
「いや。単純だなーと思っただけ」
「はあ! ソラ! それってどういう意味よ!」
本気で怒っているサクラにソラは笑う。ほんと裏表がない。
「サクラはそのままでいてね」
「? 怒ってろってこと?」
露点がずれた解釈をしているサクラにソラはさらに笑う。だがすぐに笑顔を消し真剣な顔になる。
「ソラ?」
サクラは不思議に思い声をかけるが、口元に手を添えられる。
「しっ!」
ソラはサクラには視線を向けずに、目の前を睨む。
「どうしたの?」
「いる」
ここで言う「いる」は妖獣がいるということだ。サクラもソラの視線の方を見る。すると草むらからガサガサと音がし、どんどんと近づいてくるのが分かった。視界が悪いせいで姿が見えないため、恐怖が一掃強まり、サクラは体を硬直させる。その中、ソラはある違和感を感じていた。
――どういうことだ? ここにいる妖獣はレベル2じゃないのか? どう考えても今目の前にいるのはレベル7ほどの妖力じゃないか。
まずこのエリアでこのようなレベルの妖獣はいない。だとすればわざと放たれたことになる。
――あいつらがやったのか? どこまでも腐ってやがる。
その頃軍の者達は笑っていた。
「リーダー、本当によかったのか? あいつら2人に行かせて」
「ふん。別にかまわんさ。少しぐらい怪我しても何とでもなる」
「まあそうだよな。レベル3の小さいトカゲの妖獣だろ? 大丈夫だろ」
「それにしてもどう用意したんだ?」
「十家門いびりは毎年のことだからな。先輩に言えば用意してくれる。今回も頼んで軍の練習用に保管してあったレベル3の妖獣が入ったカプセルを用意してもらったってやつだ」
リーダーの者が笑顔で言う。
「さっきのあの丸いカプセルか?」
ここに来る前に事前にサクラとソラが向かった場所にカプセルをセットしてきたのだ。
「ああ。時間になるとカプセルが解除されて妖獣が放たれる仕組みだ」
「じゃあもうそろそろ時間だな」
1人が時計を見る。
「まあ死にはしないだろうが、苦戦はするだろうな。まあ少し遅れて行って助けてやれば良いさ」
「確かに。いい気味だぜ」
そう言って皆笑う。
「そろそろカプセルが解除されるころだろう」
すると、妖獣の妖力が爆発的に上がった。それには軍の者達は驚き目を見開く。
「おい。この妖力……」
「レベル3じゃないだろ」
「ああ、レベル5,いやそれ以上!」
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