第28話 富山港展望台
古い町並みの観光は終わった。後は海だ。日本海を見たい。近くに灯台のような展望台があるらしい。そこへ行ってみようと思っていた。
時刻は午後2時20分頃。いやはや、食事が出て来たのは2時過ぎだったから、食べて店を出るまでに20分もかからなかった。独りだとおしゃべりもせずに食べまくるので、何においても時間がかからない。もうちょっとゆっくり座っていた方が、疲れが取れてよかったのかもしれないが。
展望台はすぐに見つかった。近づくと、思ったよりも大きい。だいぶ背が高いようだ。けれども、何というか……誰も管理していない物で、階段しかなかった。これは予想外だ。もっとこう、お金を払ってエレベーターで上まで行く感じなのかと、勝手に想像していたのだ。
石造りの四角い建物に入ると、らせん階段になっていて、下から見上げると、真ん中に緑色の落下防止ネットが掛かっていて美しくない。セイフティーネットは大事だけれども。そして縄でぶら下げられた玉が見える。恐らく電灯だろう。夜には綺麗なんじゃないか……いや、ちょっと怖いか。海も真っ暗だしな。
ここまで来たからには、階段をてっぺんまで登るしかない。一つ深呼吸をして階段を上り始めた。
また、右足の親指の爪が痛くなってきた。だが、頑張って上る。流石に途中で疲れて、ちょっと休憩。後ろから男性が上ってきたので、踊り場で先を譲った。私はゆっくり行かせてもらう。
そして、登り切った!てっぺんは360度ガラス張りだ。天気も良く、なかなか良い眺めだ。ただ、ガラスには縦線が入っている。海は見えるがやっぱり直に見たいな。
目の前には貨物船があり、作業している人達が見える。海の向こうにも陸が見える。能登半島らしい。90度回ると、海の向こうには何もない。水の色が遠くへ行くほど濁って見えるのは何故だろう。あの向こうに何があるのか、スマートフォンの地図で確認したら、あの先はロシアだった。そうなのか……。なんか感動。
小さいお子さん連れのご家族が上がってきた。賑やかになる。座るところがあったが、そこに皆さん座ってしまい、その正面からの写真が撮れなかった。皆さんが座っている正面は、山が見えた。能登半島とは反対側だ。ガラスに山の線と名前と標高が書いてあった。正面から見ないと、実際の山と描いてある線とが重ならないのだが、斜めから写真を撮り、素通りしてしまった。さっきまで誰もいなかったのに、ちょっとツイテナイ。でもまあ、いっか。
そしてまた、階段を降りて歩き出した。もう立ち寄る場所はない。後は富山駅へ帰るのみ。新幹線までの時間はたっぷりあるし、せっかくだから海岸へ行ってみようと思った。
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