106.平穏な日常
天空の島でのクエストを終わらせて拠点へ戻ると、カゲと部長が戻ってきていた。あっちのクエストは終わったのかな?
「いや、職場の飲み会があるんで先に戻って来たッス」
「ほら、お前が休む前にやってたプロジェクトあったろ?あれが大成功でな。社長から部署に特別報酬を貰ったんで飲み会をやろうって事になったんだよ」
「そうか!大変だったもんなぁ…成功して良かったよ」
思い出すなぁ…毎日終電間際まで残業して、色んな所へ頭下げて回って。何とか形にして先方に提出してから長期休暇に入ったんだよな。休暇申請はプロジェクトが立ち上がる前から出してたから、間に合った時は本気で泣いちゃったぜ。
「パイセンの仕事っぷりが神懸ってたッスからね」
「いや、あれは皆が頑張ったからだろ」
「まぁ、そんなわけでお前にも一応知らせておこうと思ってな。皆には地元へ帰省していると伝えてあるから」
「いつもスマンな。助かるよ」
二人はそれだけ言うと直ぐにログアウトしていった。メッセージでも良いのに律儀な奴らだ。
ちなみに、ネクター達はゲーム配信を行うらしい。カリンも最近は配信にレギュラー登場しているのだが、親御さんは知っているのか?と不安になって聞いてみたら「ウチのママにゃん、モモちゃんのファンになったから問題なしにゃー」と言っていた。
さて、そんな感じで手が空いたので天空の島から貰ってきた品を整理しよう。
クエストから帰った後は、拠点でノンビリ戦利品を整理するのがいつものルーティン。なので、今回も荷物整理をしていく。
ネステルの手記をムートへ見せたら物凄く喜んでいた。ついでに、向こうで手に入れた植物の種を渡す。おぉ、喜びのダンスをしているな。
そして、他の留守番組にお土産を渡していく。屋敷妖精のスレアには天空の島でしか買えないお茶やお菓子。ドワーフのドフィ親方には鉱石や木材。ウンディーネのアクアには天空の島とセルキーの里で採取した水。ついでにナヴィには天空で採れた蜜と、シルバには魔獣の肉を渡しておいた。いつもありがとうな。
その他に、様々な食材もあるぞ。
ドフィ親方が食材保管庫を作ってくれているので、そこに手に入れた食材を収納していく。うーん、在庫が少なくなっているものがあるな。買い出しに行かないと。
食材保管庫はイベントリと同じ仕様で、中に入っているモノが腐ったり冷めたりすることはない。ただし保管できるのは食材と料理のみとなる。ゲームだから、食材や料理が腐るなんて事は無いと思っていたんだが、とうやらイベントリから出されたものは時間経過とともにしっかり腐るらしい。現実時間で2日かな?
それを利用して、ムートは半端になった食材をわざと外に置いて肥料に変えている。使うのは『良質な腐葉土』と『腐った野菜クズ』。これをムートが混ぜると『妖精の肥料』になるのだ。
ただ、食材を外に置きっぱなしにして腐らせるのは見た目も良くないしスレアが怒るので、ドフィ親方が『食材コンポスト』を作ってくれた。これはイベントリ機能のない箱なのだが食材以外は入れる事が出来ない。
拠点の裏には大きな倉庫がある。もとは農機具小屋だったのだが、ドフィ親方がせっせとモノ作りに勤しんだ結果、大きな倉庫になっていた。見た目は普通の小屋なんだけどね。
中に入って、積み上がった妖精の肥料とドフィ親方が作った家具や道具をイベントリに入れていく。この倉庫も定期的に見ておかないと、あっという間にモノが積み上がってしまうんだよな。
「えーと、これは『魔法のかかし』畑に置くと収穫量が少し増える…こっちは『妖精のスノードーム』常に雪が降る不思議なスノードーム…こんなものまで作ってたのか」
ドフィ親方は意外とメルヘンチックなモノも作るんだよな…
倉庫内のモノをイベントリに入れたら、商店街へ向かう。ここには冒険者マーケットがあって、持ち込んだ品に値段を付けて預けると他の誰かが買ってくれるシステムになっているのだ。
販売者の名前は自由に付けることが出来るのだが、ネクターに「絶対売れるから!!!」とクラン名の「ティル・ナ・ノーグ」で出してある。
「いらっしゃいませ、シオン様。前回までの売り上げをお渡ししますね」
「ありがとうございます。それと、これを出品したいんですけど」
「かしこまりました。では、販売金額をご入力ください」
売上を受け取って、品物を預けたらそのまま商店街で買い物をする。足りないのは主に調味料だ。その他に牛乳や肉や魚も買っておく。大抵は出掛けた先で買い込むのだが、料理のレシピによっては店売りの肉や魚じゃないと作れないモノがあるんだよな。
料理のレシピについては、自分で好きなように作るとそれがレシピとして登録出来るようになる。レシピ登録をすると、NPCもその料理を作れるようになるのだ。レシピの販売も行えるから、俺もいくつか購入している。スレアが作れるようになるからね。
さーて、買い物も終わったし拠点に帰るか!
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