85.火竜の試練・海底ダンジョン攻略
「いやー、思ったよりは大したことなかったね？」
攻撃パターンが読めれば難なく撃破出来てしまうわけで。
「まぁ…そう…ね？」
「エリアボスよりは…」
「ダンジョンってこんな感じなんですね」
「今までが特殊だった…と？」
「そういえば、これが普通なんだな？あんまり経験ないからわかんねーけど」
「最初はネクター達がトレインしてきたドラゴンかなぁ」
「あの時はほんとゴメンナサイ」
「そう考えるとパイセンって特殊な戦闘しかしてなくないッスか？」
そうか？…そうか。そういやそうだな。普通のダンジョンって初めてかもしれない。というか、普通って何基準なの？
「そこからかー」
そこからだよ。だって普通のダンジョンって入った事ないもんね？廃城は普通のダンジョンと数えません。あれも特殊な方だよね？？
その後も雑魚とエリアボスを撃破しながら進む。順調すぎて逆に怖いんだが…
「普通のダンジョンってこんなもんよ？」
「そうなのか…」
「海底神殿って、案外楽…？」
そうだと良いんだが…あのリヴァイアサンのレリーフが何となく気になってるんだよな。
「そろそろ神殿の中心部っちゃ！海神様の像が置いてあるっちゃよー」
ほーん。つまり、大ボスもそこに居るってヤツかなー？
「それなんてフラグ？」
「やめてよ！ここまで順調だったんだから…」
「あっ、嫌な予感がします」
「雪華さんまで！！やだぁぁぁぁ！！！普通に終わらせてよぉぉぉぉぉ」
ネクターの願いも虚しく、神殿の中央部にあった神像が怪しく光っているのが見える。あれ絶対ボスだよなぁ。
「もぉぉぉぉ！！！フラグぅぅぅぅぅ！！！」
「いやー、見事に回収したな！」
「おヤクソクってやつだな！」
「パイセンが居て普通に終わるわけなかったッス」
「通常運転にゃー」
さて、ここでウダウダしてても仕方ない。手早く強化魔法を掛けていく。水属性だし、雷とか弱点だったりしないかな？そう思いついて、手持ちの素材で手早くアイテムを作る。
「部長、サンダーバレット作ったから使ってみて」
「おー、もらっとくわー」
「カゲさん、あれは…」
「いつもの思い付きッス。部長も深く考えないタイプなんで普通に受け取ってるッスけど」
「はぁ…」
何だ？お前たちも欲しいのか、仕方のない奴め〜。これを柄の先端に取り付ければ雷属性の武器になるぞー。ははは、言葉にならないほど感動してるのか。あとは水属性に強くなるアクセサリも付けておけよー。
「セルキー、待たせたな。お参りしに行こうか」
「行くっちゃ！着いてくるっちゃー」
セルキーはそう言うと、勢いよくペタペタと走り出した。セルキーが祭壇前へ到着し、続く俺たちが前へ進むと海神の像の目がピカーッと光ったぞ。
『汝等、試練ヲ受ケシ者ヨ、我ノ前ニ力ヲ示セ』
不思議な声が何処からか聞こえると、海神の像が実体化した！やっぱりリヴァイアサン戦だったー！！
リヴァイアサンは、レヴィアタンとも呼ばれる。というか、レヴィアタンの方が元ネタなんだったか？聖書とかに出てくる伝説上の怪物だ。レヴィアタンはヘビに似た怪物で、とにかく硬くて、口から火を吐いて海を干上がらせるとか云われている。
その伝承に準えてるなら…
「やばい！かたい！攻撃が通らない！」
カゲの喋り方が普通になっているので、かなりの硬さのようだ。
「表面が硬い敵は口の中を狙うのが定石だが…なんかマグマっぽいのが見えるなぁ」
そう、大きく開いたリヴァイアサンの口の中には赤く煌々とした液体が見えている。ぽたりと垂れれば、その床がジュワッと焦げるくらい。あまりの硬さになかなか活路が見いだせないぞ。
「とりあえず、一点を狙って鱗を剥がせ！鱗さえ剥がせればこっちの攻撃も通るはずだ！」
後方から指示を飛ばしつつ、雷属性を付与させた矢で身体の同じ場所を狙っていく。本当は目が狙いたいんだが、今の段階で潰すのは危険だと思うんだよなぁ。
ヤスナガもなかなか通らない攻撃に苦戦しているようだ。ヤスナガが斬った場所に雪華さんが攻撃魔法を叩き込んでいる。しかし、鱗は硬く微かに焦げ跡がついているだけだ。
お腹の部分もやはり硬くて、どうにもならない。蛇腹の節を狙ってみるが腹の鱗？が重なるように生えていて隙間が見えなかった。ちくしょう、対策済みってかー？！
リヴァイアサンはたまに顔を大きく上に向けてから、勢いよく口の中のマグマを吹き飛ばしてくる。一つ一つは小さいが、飛沫のようになっているので避けるのが大変だ。
「あちー！そうだ、セルキーは無事かー？！」
祭壇の方を確認すると、バリアが張られていてその向こう側で心配そうに見つめるセルキーの姿が見えた。よかった、巻き込むことはなさそうだな。
「いやー、どうすっかなー」
どれもこれも決定打にならず、皆んなも若干動きが鈍い。そう、湿度が上昇しているのだ。恐らくリヴァイアサンが吐くマグマのせいだと思うんだが…
「あれをどうにか冷やして固めらんねーかな」
とにかく、あのマグマを何とかしたい。このままじゃ蒸し焼きになっちゃう！！
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ここまで読んでいただきありがとうございます！
火竜の試練と題して3話程度で纏めるはずだったんですが…
おかしい、どうしてこうなった。
シオン君の物語が面白いと感じて頂けましたら、☆で評価して頂けると嬉しいです！
そして、♡を付けてくださる皆様、いつも有難うございます。こうして続けられるのも読んでくださる皆様のお陰です。
今後ともよろしくお願いいたします。
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