84.火竜の試練・海底ダンジョン突入
「まぁ、そんなワケで連れて行くが良いか?」
セルキーを連れて集合場所へ行くと、すでに皆揃っていた。遅れた理由を話してセルキーを同行させたいと相談したのだ。
「あー…クエスト進んだっぽいです」
「マジで?それじゃ、どうする俺はこのまま海底神殿行くけど」
「オレは行くッスよー。海底神殿興味あるッス」
「ワタシ達も、撮影したいし行くわよ!」
「オレハヒマだし、付いていくぞ」
「ウチも行くにゃ!ダンジョン楽しみにゃ!」
「あっ、俺もいいですか?実は俺も姉も古代遺跡好きでして…実は楽しみにしてたんです」
そんなワケで、全員でダンジョンに乗り込むことになったのだった。
「おぉー、海底神殿って感じだなぁ!」
岩場の洞窟を下っていくと、岩壁に神殿の入り口が埋まっているのが見えた。太くて立派な円柱に石造りの屋根。それから扉には蛇のような龍のような生き物の意匠が彫り込まれている。
「あれは…リヴァイアサンか?」
「正解っちゃ!アチシ達『海の民』の守り神なんだっちゃ!こうして時々お祈りにくるっちゃよー」
「ほー。他にもこういった神はいるのか?」
「ノーム、サラマンダー、ドワーフ、ウンディーネ、シルフ…そういった種族には守り神がいるっちゃ。アチシ達もそうっちゃけど、そういった種族は眷属として守り神様の力の一端をお借りして魔法を使うっちゃ」
「そうなのか。ってことは、ムートやアクアも精霊とは違うんだな…どういう分類なんだ?」
「精霊達はもっと純粋な存在っちゃ。世界樹から生まれて、精霊女王を中心としてるっちゃが、世界中に漂って自由気ままにしてるっちゃ。アチシ達はそこから守り神様の御力を貰って進化した神霊族になるのっちゃ」
「えっ、そうなんだ?!」
『固有の種族名を持つ者は精霊に近しい種族であっても守り神を持つ。ムートやアクアは限りなく精霊に近くあるが神霊族と分類されておるな』
「へぇ〜。あ、それならムート達も信仰している神様がいるんだよな。帰ったら祭壇でも作ってあげようかな?」
「他にもいるっちゃ?会ってみたいっちゃ!」
「おー、いつでも遊びに来ていいぞ。そうだ、スレアにお菓子を沢山用意してもらっておこう」
「やったっちゃ!シオンの作ったのも食べたいっちゃ!」
「俺のか?…スレアの作ったやつのほうが美味しいと思うけど…ちゃんと用意しておくよ」
「嬉しいっちゃ〜」
ちなみに、ネクター達は前の方で雑魚を掃除しながら進んでいる。この辺は弱い敵しかいなさそうなので完全にお任せ状態だ。いやー、強い仲間がいるって良いなぁ。
「あの…」
「気にしちゃダメよ」
「とりあえず、危険は無いって事ですね」
「まぁ、いつもの光景ッスね。話してる内容結構ヤバいけど」
「いやー、リアルでもあの調子だからなぁ。それでいて嫌う人間が居ないんだからとんでもない能力だよ」
「人たらしってヤツなのにゃ?ここではNPCとか妖精たらし?」
「何と言うか…すごいですね…」
「何ていうか、危険察知能力も優れてるからね。ああして呑気にしてる時は大体安全って事なのよ」
「シオンさんって…何者なんです?」
「いやー、普通の会社員ッスけどねぇ…」
前の方が何やら賑やかだが、特にたいした敵も出ないから遠足みたいだなーなんて思ってたんだが。
「うわー、油断してたなぁ」
目の前には二対の石像が立っている。どう見てもフロアボスですね。ここまでが雑魚ばかりだったから油断していたが、すでにボスフロアに足を踏み入れてしまっている。一定時間こちらから攻撃せずにいると、向こうからやってくるのだが、そうすると相手の攻撃力にボーナスが付いて苦戦するのだ。
「まぁ、とりあえずいつものように攻撃かな。ヤスナガは側面か背面から。雪華さんはサクラと同じところまで下がってください。…それじゃ、いくかー」
ササッと立ち位置を決めたらネクターが飛び込んでいく。敵は二対なので、片方からやっていくのだが…
「むっ、コイツら攻守交代してるな。守備モードになるとこちらの攻撃を反射してくるから気をつけろ!青が守りで赤が攻撃だ!」
目の色が青い敵に矢を射ったところ、こちらに跳ね返ってきたのだ。赤い敵には普通に攻撃が通るので、目の色を目安に攻撃していく。
反射の仕組みさえわかればそれほど苦労しなさそうだった…が、やはり甘くはないようだ。
「あら?なんか挙動が…」
「なんか嫌な予感がする!一旦離れろ!」
「うぉっと!お互いの武器を重ねて合体攻撃とか!!」
「ふぎゃ!痛いのにゃー!」
「回復します!!」
二対の石像が互いの武器を重ね合わせた瞬間、一直線に衝撃波が発生した。これが意外と痛くて、攻撃の方向性を見極めるまで何度か食らってしまった。どうやら、赤い瞳の石像が向いている方向に衝撃波がいっているようだ。
「赤い目のヤツの向いてる方向に気をつけろ!」
攻撃のパターンさえ読めればあとは削るだけだ!
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