81.火竜の試練・作戦会議のち突入

「突入するチームのリーダーは作戦会議するんで集まってくたさーい!」


この場を仕切っているのは、情報クランのラビリアだ。情報を取り扱うクランなので顔も広く、まとめ役には適任だろうという事でこの場を仕切ってもらっている。


参加メンバーは、俺達六人とヤスナガ姉弟、ラビリア組が三人にムラサキ組が四人、合計十五人だ。


「えーと、ここのボスは前方範囲攻撃と後方範囲攻撃。それからランダムで範囲攻撃をばら撒きます。地面が光るので、素早く移動すれば問題ないです。ただ、後半になると前後の範囲攻撃と組み合わせてくるので、注意して下さい。それと、HPが75%・25%の時に戦闘エリア外へ退避して雑魚を召喚します。DPSチェックなので気合い入れて速やかに殲滅して下さい。ただし、範囲外から強力な光線を放ちますから、気を付けてくださいね。

HP50%を切ると、中央に落下攻撃が来ます。発動が早いので急いで壁に寄って下さい。気をつけるポイントは以上です。質問はありますか?」

「弱点属性はあるのか?」

「いえ、特に弱点はありません。なので、最大火力でひたすらHPを削ることになりますね」

「範囲攻撃の予兆はあるの?」

「背中のトゲが光るので、それを目安にしてください」


こんな感じで作戦会議は進み、最終確認が行われる。とはいえ、数で押すだけなのでとりあえず戦闘不能に気を付けておけば良さそうだ。


「それじゃ、突入しまーす!」


ラビリアの合図で戦闘フィールドへ入る。

ここのエリアボスは木の柵で囲われたエリアでの戦闘だ。全員が柵の中へ入ると柵の向こう側から土煙が見えた。それが徐々に近づいてきて、柵を蹴破ってきたぁぁぁぁ!!!!柵の意味ぃぃぃぃぃ!!!!


エリアボスはオオトカゲのような姿をしているが、背中には毒々しいトゲのような背びれがあり、手足の爪は異様に発達している。

口からは牙と、紫色の粘液が滴ってして…キモチワルイ。誰だよ、このボスデザインしたのー!


まずは、ネクター達盾役が突っ込んでいく。それぞれの攻撃が当たったのと同時に他のメンバーも攻撃を開始した。当然、俺も弓でチマチマと削っている。今回はシルバ達も喚んでいる。というのも「そろそろ隠しっぱなしも厳しくない?」というネクターの一言があったからだ。


ついでに、「これだけ人数いたら目立たないっしょー」とも言っていた。木を隠すなら森ってやつか?


そうこうしているウチに最初の雑魚タイムがやってきた。雑魚と言ってもエリアボスが小さくなったような姿で、それなりに強いはず…が、流石に攻略メインで突っ走ってるムラサキチームや情報クランのメンバー。それとヤスナガ姉弟が物凄い勢いで殲滅してった。


確かにこれなら余裕で隠せるかもな…うん。今までちょっと隠しすぎてたかもしれない。よぉぉぉし、本気出しちゃうぞぉぉぉぉ!!


「シルバ!」


シルバが一回り大きくなり、その背に乗る。ナヴィがシルバの頭に乗り安全な場所を指示していく。

その間も、俺は攻撃力の高い矢を撃ち続けている。


「…ねぇ。あの子ってネクターさんのとこの子だよね?」

「えっ?…うわ、なにあれ!?なんのジョブなの?!」

「えっ、弓士じゃなかったんだ…」

「そーいや、ウチに魔力渡してくれとったな…シオン君ってナニモンなん???」


うん?なにやらザワついてるが…敵が思ったより強かったのか?おーい、そろそろ中央落下攻撃がくるぞー?


「退避ーー!!!!」


全員がフィールドの端へ退避する。

すると、エリアボスが飛んでもなく高く跳び上がった!!!アイツ、トカゲみたいなのに、なんであんなにジャンプ力あるんだ?!?


すごい勢いで落下すると地鳴りと共に衝撃波がきた。離れているがなかなかのキツさだ。治癒魔法持ちが素早く回復していく。俺も回復を補助して次の攻撃に移る。


次第に、足元にランダムで爆破攻撃が仕掛けられ、あちこちで被弾する人達が出てきた。

ふと、サクラを見ると移動しなければならないせいで思うように攻撃が出来ていないようだった。


「えーと、『浮遊陣』!!!」


咄嗟に考えた魔法を繰り出す。

サクラの足元に魔法陣が浮かび、そのままサクラごと空中へ浮かんだ。よし、良い感じだぞ!


「シオン君?!…助かりました!」

「おー、そこなら範囲喰らわないはずだから!」


サクラを浮かせてから、攻撃に戻る。

シルバにも攻撃を許可してあるので、近付いて爪で攻撃、離れて弓で攻撃の二段構えだ!!うぉぉぉ、なんか楽しいぞーー?!?!


「…パイセン、なんか吹っ切れてないッスか?」

「あー、これだけすごい奴らが居るなら自重しなくても良いとか考えたかもしれないなぁ」

「シオンにゃんの凄さは、ウチらのとは違うベクトルなのにゃー」

「たぶん、本人は理解してないのよねぇ」


他のチームも順調そうだな。おっと、ヤスナガとお姉さんは大丈夫か?


「スイマセン、回復貰えますか?!」

「おー、まかせとけ!ついでに強化もしておくな」

「えっ、バフの効果がなんか凄い!?えっ、ありがとうございます!…あれシオンさんって弓士じゃないっけ???」


なんだ?ヤスナガが混乱してるが…まぁいい。お姉さんには魔力譲渡と魔法使い向けのバフをプレゼントだ!


「えっ?!あっ、ありがとう!」


ふふふ、びっくりした顔をしているな?

いやー、思うように動けるってたーのしーぃ!

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