79.火竜の試練・準備
火竜の試練は、海底神殿にある水を生む宝玉を持ち帰るというもの。そして、そこへ進むためには、アクローザ海国へ向う必要がある。
アクローザ海国はその大半が海に沈んだ海洋国家で、特別なクエストをクリアしなければ足を踏み入れることが出来ない場所だ。
冒険者ギルドで対象のクエストを探すがなぜか見当たらない。仕方ないのでスマホでクエスト受注までの流れを調べることにした。
普段は没入感を大事にしたいからクエストの内容を調べることは極力控えているが、今回は急ぎの用事だ。仕方ない。
攻略サイトを見ると、どうやら依頼を受ける前にいくつかクエストをやらなければならないようだった。まずは…『魚屋で魚を1000イェン分買う』?魚かぁ。そういえば手持ちの食材に魚はあまり入ってないから丁度いいや。
「まいど!何をお探しで?」
魚屋のおっちゃんはねじり鉢巻にエプロンと長靴という出で立ちだ。魚河岸に居そうな感じだなぁ。品揃えを見ると色鮮やかな魚が並んでいるが…あれ?妙にスカスカじゃないか?まぁいいか。
ワカサギが量り売りされていたので購入。他にも白身の魚や川魚、ウナギや赤身の魚を購入した。何だかんだで5000イェンくらいになってしまったが、食材は充実したぞ。
「沢山買ってくれてありがとうな〜。棚はスカスカだってのになぁ。最近魚が仕入れにくくて、品揃えが悪いんだ。すまねぇな」
「仕入れにくいって、何かあったの?」
「それがなぁ〜」
魚屋のおっちゃん曰く、この辺の魚は海の国アクローザで水揚げされてその日のうちに運ばれるモノが殆どで、以前は棚いっぱいに魚が並んでいたそう。しかし、ここ最近入荷できる魚が減ってしまっている。
仕入れ商人に話を聞いたが要領を得ない事しか言わないし、品揃えも悪くなってしまって売上も減ってしまった。コレは魚屋に限った話ではなくて、市場に出回らないせいで食堂なんかも魚料理が出せなくて困っているようだ。
「そうだ、にーちゃん冒険者だろ?あっち方面へ行くならついでに原因を調べてくれねーか?報酬は出すからよ」
そんなわけで、アクローザ海国から仕入れられる魚の減少原因を調べるという依頼を受けることとなった。
「えーと、まずは市場で聞き込みだな」
魚を取り扱う店を回って、アクローザ方面の話を聞く。次に食堂へ行って、カウンターで魚料理を食べながら店主に話を聞く。最後に、アクローザ方面の品物を扱う商人のところへ。
「アクローザの話?…あぁ、魚が減ってるからか。そうだなぁ、見ての通りまだ仕事が残ってんだ。手伝ってくれるなら話してやっても良いぜ」
商人から指示を受け、アチコチに品物を届ける。5つほど配ると、ようやく話を聞くことが出来た。
「アクローザの海で捕れる魚が減ってるんだよ。原因は調査中って事だが、漁師に聞いた話だと、海の中に魔物が棲み着いて悪さをしてるらしい。アクローザって国のことはどれくらい知ってるんだ?…そう、国の大半が海に沈んでる。そして、海の中にも都市があってそこで暮らす人も居るんだ。アクローザの海に暮らす者は水中であっても呼吸をし、自由に泳ぎ回れるって話だ。まぁ、この辺は噂程度だから本当のところはわからねーがな」
海の中の都市?!へぇ、それは一度見てみたいな。どうやったらアクローザへ行けるんだ?
「お、興味があるのかい?それなら南へ向かう馬車に乗るのが一番だな。詳しくは冒険者ギルドで聞いてみな」
冒険者ギルドだな。なるほど、ありがとな!
「いいって事よ。こっちも仕事手伝わせちまったからな…そうだ、これ持っていきな。アクローザの民がお守りにしている『
おぉ、ありがとな。えーと、『加護を失った
さて、冒険者ギルドへ行ってみるか〜
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます