76.ぶらり街歩き
廃城を出て拠点へ戻る。なんだか久しぶりだな〜。そういえば、メンテ明けてから初めて戻るんじゃないか?
ドワーフの里で遊んでる間に行われたハウスエリア実装メンテの際に、大型メンテ中の避難場所として拠点を開発サーバーへ移動してくれていたのだ。
『おかえりなさい、ご主人様』
『おかえりなさい〜』
『おかえりなさいませ、お茶の支度が出来ていますよ』
『よぉ、先に戻らせてもらったぜ』
精霊の皆が出迎えてくれる。屋敷妖精スレアの淹れてくれたお茶で一息つく。
ドフィ親方も戻ってたんだな。レフィちゃんは良いのか?
『あー、なんだ。その…迷惑かけちまってすまなかったな。これからは、たまにアッチへ帰る事にするぜ』
うん、そうしてくれ。せっかく里に家があるんだしな。他に変わりはなかったか?…そうか、それなら良かった。ん?あぁ、調味料や保存食が少なくなってきているんだな。よし、コレを飲んだら買い出ししてくるよ。他にも用があるからな、気にするな。
食料の買い出しに街の方へ向かう。最近はシルバとナヴィを連れ歩いてもジロジロ見られることはなくなっていた。皆も慣れたようだ。いやー、人目を気にせず歩けるって良いなぁ!
商店街には様々な店がある。ここはプレイヤーが店を出せるエリアになっていて、品揃えもなかなか面白いのだ。まずは調味料の専門店へ向かう。ここもプレイヤーの店なんだが、様々な調味料を扱ってるので良く買い物に来ている。
「いらっしゃーい。お、シオン君じゃん。今日はどうしたの?」
「買い置きの調味料が少なくなってきたから、その補充に。あとは何か面白いスパイス無いかなと」
「なるほどねー。それじゃ、いつもの調味料セットと〜、そうだな。この辺のものは新しく仕入れたスパイスだよ」
いつもの調味料をカゴに入れて、他の品を吟味する。これは、肉用?へー、肉料理に合うように複数のスパイスを調合して作ってあるのか。こんなものまであるんだな。えっ、オリジナルなの?そりゃすごい。一本買うよ。
こんな調子でいくつかスパイスも購入して店を出る。いやー、買い物は楽しいなぁ!
お?こんな所にパン屋が出来たのか。どれどれ…美味そうだな。いくつか買って帰るか。こっちは肉屋かー。おぉ!ベヒモスの肉なんて、どうやって手に入れたんだ?!お値段もそれなりだが、肉に合うスパイス買ったんだよなーどうせならいい肉食べたいよなー。よし、買っちゃえ!
「よぉ、シオン!暫く振りだな!」
「オッチャン!顔出せなくてごめんな」
「ははっ、冒険者なんだ。そんなの気にすんな!それより、肉串買ってくだろ?」
「もちろん!30本くれ!」
野ウサギ肉串屋のオッチャンことオジーさんは、この街に初めて来た時からの顔なじみだ。オッチャンの息子ムッス君を隣街まで護衛したのが懐かしいぜ。そういえば、元気にしてるのか?
「おー、今は賄い料理を作らせてもらえてるって手紙が来てたな」
おぉ、ムッス君も頑張ってるんだな。そのうち顔を見に行くのもいいかもしれないなー。
「そういや、ギルドのねーちゃんがシオンを探してたな。どーせまだ顔を出してないんだろ?後で寄ってやってくれ」
「ギルドの?何だろうな。わかった、行ってみるよ」
露店のオッチャンと別れ、他の店にも寄りつつ冒険者ギルドへ向かう。イベントリにはお茶やお菓子類もたっぷり入ってるぞー。ここのところ他の場所で活動してたから、手持ちの食料が少なくなってたんだよな。補充できて良かったぜ。
冒険者ギルドは大盛況だった。うーん、オッチャンに言われたから来てみたけど、こんなに混んでるならまた後でいいか。
しかし、何であんなに混んでるんだろうな?
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